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その他の会議録
教育現場より「いじめ」を考える
H18―11−25 ドーンセンター

 
左より、豊中市議北川悟司理事長、南口龍一大阪府高校教諭、小西正之
 大阪市中学校教諭、浪平繁貴大阪市中学校教諭、長谷川潤大阪府中学
 校教諭、福山市中学校教諭、森岡正宏前衆議院議員
  

〔講演略録(テープ興し;中谷)〕


北川悟理事長

 今日は5人の先生、特に広島県福山市より佐藤先生をお招きし、今話題になっている「いじめ問題」を教育現場から語っていただきたいと思い企画しました。

安倍政権が発足し、教育再生会議という組織が創られました。只皆様お気付きの通りメンバーの中に教育現場のことを本当に理解されている方が非常に少ない。というより約1名しかいない。その1名も話題性に飛んだメンバーでありまして教育再生について議論されようとしています。この間冗談を申しておりました。「教育再生」という言葉は我々の会が元祖であろうと思います。
我々は一つ自信をもって教育再生を諮っていこうと思います。

 今日は短い時間ではありますが、それぞれの先生から意義のあるお話を頂きたいと思います。実りある会合に鳴ります様祈りまして挨拶とさせていただきます。



佐藤泰典先生

 広島では文科省より是正指導という異例の指導を受けました。その後授業時間数、国旗、国歌の正常化がなされましたが、残っているのは「いじめ」「暴力行為」の問題です。今日はそのことについてお話したいと思います。
 このことを考える中で教員、校長が指導する手足をもがれていてどうしようもない・教育委員会は現場の把握が出来ていない。このことは「未修問題」で象徴されていると思います。文科省や国会が定めた法令が守られているかの問題なのです。

 広島のある中学では授業が成立せず校長が問題生徒に対し、出席停止措置をするまでに約1年半を費やした。教師に対して指導力を問う声があるが実際問題生徒に対し説得するしか方法は無い。
行政からの通達により「授業中騒いだり、怠けたからといって生徒を教室外に連れ出してはならない。」昭和23年年法務庁より悪い生徒にも「学習権」があるという論理です。「小中学校では髪や服装違反者を帰宅させ直した後に登校させることは出来ない。」ニューヨークの破れ窓論というのがありますが、たかが服装の問題ですがそれを放置することにより隙が出来、一気に紀律が壊され荒れてしまう。

 いじめの問題において先生に相談しないというが相談をしてもその後の仕返しを恐れて相談しないのです。
 本当に考えなければならないのはいじめた側をどうするかということで、「強い先生」の存在が学校をもたせている現状から校長を中心に組織で対応していくことが重要である。毎年約3000人の教師が精神疾患などにより退職し、全国で年間約2万件の暴力事件。それに対し、出席停止等の措置が42件。教育委員会によって判断されるので措置がどうしても遅れる。国旗、国歌問題にしても同様です。
結論としてはそれぞれの責任の明確化が重要であり、授業がわからないから荒れるのでは無く、何の咎めも無いので荒れるのです。



浪平繁貴先生

 大阪府の公立中学の社会科を担当し、また教育連盟という所謂保守派の職員組合の委員長をしています。連盟として例年、行政に対し、国旗国歌の正常化、道徳教育の充実、本当の意味での人権教育、ジェンダー思想の是正など提言を行っているところです。特に道徳教育の充実に力を入れていまして、現在問題になっている未履修問題を掘り下げるともっと問題があります。指導要綱によると道徳には23項目が、遵守している学校は皆無の状態です。現実には同和、在日、女性等の差別に特化し、偏向した授業がなされています。大阪府下の学校には各教科ごとに研究会があり、私は道徳分野の理事をしていて府下の各学校に発信しているが現行の道徳教育のあり方について疑問を持っている教師がかなり存在している事実があるので、協力し一層の充実をはかっていきたい。

「いじめ問題」について、今の親の世代は校内暴力が吹き荒れた時代に育ってきている世代で、学校に対して何でも要求でき、教師をチョロイと思っている世代であり「クレーマー」が多数存在している。
特に憂慮しているのが母子関係で、ネグレクトと過干渉と二極化されてきている。戦後民主思想は自己主張、自分の幸福、平等などが基調としてあるから妨害するものは子供であっても邪魔で疎ましい存在になってしまう。更にジェンダー思想はそんな母親の身勝手を支える理論になっている。問題のある生徒は母親の愛情が希薄であり、学校現場の対応だけでは限界があり、様々な可能性を考えていかなければならない。



南口龍一先生

 戦後、お父さんとお母さんが駄目になった。すなわちこれを国家に置き換えてみれば憲法と教育基本法です。
 強い憲法、優しい教育基本法が戦後民主主義の父母に変わりその結果現在の荒廃があると考える。
夏目漱石、石川啄木など近代文学を引用し、戦前にも教育界において現代と変わらない問題があったが当時はしっかりした父母の存在があり、しっかりした憲法、教育基本法が存在していた。
現行憲法の前文を引用し、自由、平等、博愛、人権の偏向が大勢を占め、責任、義務が蔑ろにされてきた。
 昨年校長が変わり、そのことを機に特進クラスの創設を提言し、コースならば良しということで、学力によって区別をし、教室に競争意識を導入、半年経過したが生徒達の目が輝き、意欲が向上した。誤った平等主義が生徒達のやる気を阻害していた証左である。
今後は平等、権利、自由の裏側にはきちんと責任、義務、区別。罰則があるということを学校現場だけでなく家庭の中での役割についても認識させていくことが肝要である。



小西博之先生

 大阪で公立中学に勤務し生徒指導主事という立場から、11月に入り、担任教諭から2件の体罰問題の報告をうけた。
 1件目はクラブ顧問として部員から相談により問題生徒に注意をしたところ反省することも無く反抗的態度を取るので頬に平手打ちをしたがその日に母親側に約2時間の説明をおこない了承を得たが翌日、父親側からの抗議に3時間の説明と。夫婦個別の説明が必要となってきている案件を紹介された。
 2件目の事案は学活の時間に不正を働いた生徒に対し体罰を伴う指導をしたところ担任、校長を飛び越え市会議員に対し抗議を申し出て、教育委員会に圧力をかけ、担当教員に対し処罰を求める親の存在がある。要求はエスカレートする一方で、アンケート調査、対象の拡大、対処方法等、学校全体が一人の親に揺さぶられる状態になっている。事実、保護者にも体罰容認派が存在しており、親の教育観、教育論に大きな差が出来てきているようだ。

 自身が剣道を教える立場でありその活動の中で学力の高さと、規律の関係性があるとは言いにくいが、答えとして表れているように思う。トップ校レベルでは入れない大学の学生達に実技指導をすることがあるが、学力の高さ、品行が備わっているのを肌で感じることが多い。



長谷川潤先生

 いじめと自殺は分けて考えるべき。
自身の経験でいじめは1クラスに年間数件はあり、学校全体で見れば年間10件から100件。全国に小中学校は約40,000校あるので、となれば40万件から400万件はあると考えられる。警察庁の発表によると20未満の自殺者は502人。その中には学業不振、失恋、家庭不和、厭世観、精神疾患により自殺した者も含まれるのでいじめが原因で自殺というのは確率で言えば皆無で、むしろメディアが作り上げた虚構である。
 自殺は逃避。逃げる人間、弱い人間の生産を目的とした米国GHQの占領政策によって出てきた結果である。したがって、精神力を鍛え、強い人間つくる為、剣道、柔道、茶道など道を極めることを励行するべきである。
 
 平成15年、沖縄県の北谷町で起きた事件は現代の病巣がよく出ている。定時制の男子生徒、高校3年の女性、中学3年の男子2名でそのうちの一人中3男子が約2時間わたり暴行をうけ、途中休憩し、被害男子を蘇生させた後に更に暴行を続け死に至らしめるという事件であった。これは「粗暴さ」という男の悪い部分と「ひつこさ」という女の悪い部分が一つになった結果である。いじめを減らすには男らしさ、女らしさを否定するジェンダー思想を廃し、男子の正々堂々、女子の優しさを求めていくべきである。そして「あまえ」「甘やかし」の社会を正さなければならない。
 我々は新しいものを創らなくても昔に戻ればよい。復古維新の精神で事にあたっていかなくてはならない。



質疑応答
Q女 性 現在勤務している学校の性教育の実態について
佐 藤   広島では平成10年後は是正指導により、過激性教育は出来なくなっている。
小 西 性教育委員会という会があり年間指導計画を作成し、それに基づきおこなっている
長谷川 現在もおこなわれているが、学校内部の教師がやる分には特に問題はないが、保健所等外部から来る活動家が小、中学生に男性器の模型などを使用し、コンドーム装着の練習をさせている。
Q女 性  性教協のメンバーが入っていることは判っているのか
長谷川 教師達がそれが進んだ考え方として捉えているし、教師自身が教えたがらないので任せている部分がある。やはり外部からの指摘によって食い止めていくしかない。
佐藤 すべての問題でもそうですが、「もぐらたたき」の状態になっていて、一校正常化しても活動家が他校に移るので教育委員会の責任を明確化していくことが必要。
Q男 性 様々な教育問題について何処が一番責任を持つべきか
小 西 授業については勿論教師だがしつけなどについては親が持つべき。責任の所在を細分化しそれぞれの分野で考えていくべき。
浪 平 一義的には親にあるが、学校に関しては、校長に人事権、予算権をもっと与え、校長の理想、プランを競わせていくべき。
南 口 浪平先生と同じで、経験上、現行体系でも校長が変わればかなりのことが出来る。もっと競争し、特色をだしていくべき。
佐 藤 国際競争が激化していく中で、強い国民、勝てる国民を創っていくならば、国、文科省が担うべき。地方教育については、単なる名誉職的な教育委員会ではなく、イギリスの教育水準局のようにしっかりと監督居ていくような機関にするべき。
長谷川  教育従事者には、研修を積み重ねさせ、毅然と対応できるよう作り上げていくシステムを作るべき。又、校長、教頭権限を与え競合させ、ダメな学校は潰していく。只小学校については共同体の基本なので、小学校を中心に地域共同体を守っていくことが大事である。