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山本 賢一氏の活動報告
(関西防衛を支える会)

アジア外交と日本の防衛 H22-1-1(2)

第1章 21世紀における我が国の基本命題
 アジアにおいて最初の近代工業国家となった日本は、第二次世界大戦終了後、様々な困難を克服して経済大国と呼ばれるまでに復興した。
 しかし、我が国の外交と防衛という分野においては戦中・戦後の残滓、あるいは傷跡が消えていない。まことに残念でならない。つまり、この日本という国は、主権在民を前提とした民主主義国家として「日本における安全保障はいかにあるべきか」という基本命題にきちんと答えてこなかった。
 私の考える基本命題とは次の4点である。
(1) 大きく変化しつつある我が国の安全保障環境を十分に評価分析した結果として、我が国の外交力と防衛力はどの程度の質と量が必要なのか。
(2) アジア太平洋地域における安定と繁栄を維持するために米国の軍事的プレゼンスが不可欠の要素といわれるが、米国の負担を軽減する意味でも、アジア全体の多国間による安全保障システム構築へ向けた議論を進めることは出来ないか。
(3) 戦後60年以上にわたって在日米軍の駐留を維持してきたが、独立国としていつまで容認できるのか。特に、首都圏の「横須賀」「厚木」「横田」基地などは本来的には日本の自衛隊が管理運営すべきものではないのか。
(4) 中国と北朝鮮という異なる体制の国家が巨大な軍事力を維持拡大している現状にどのように対処すべきか。
 以上の4点のうち、(4)は(1)に包含される課題ではあるが、国土面積、人口、高い成長を続けている経済、及び近年飛躍的に近代化しつつある人民解放軍を擁する中国の動向は最大の関心事となっている。また、異常な独裁国家となっている北朝鮮の動向は今後とも最大限の関心を持って注視していかなければならないという意味で基本命題の1つとして掲げるべきものと考える。

第2章 安全保障と国民の意識
1990年8月、イラクがクウェートに侵攻することによって引き起こされた湾岸戦争は、世界中に衝撃を与えた。我が国においても連日あらゆるメディアが取り上げ、一般国民の間でも安全保障について考える契機となった。
しかしながら、湾岸戦争が終結してしまうと、いつの間にか議論が収束し、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という状態になってしまった。
最近でこそ、北朝鮮のミサイル発射や核実験によってかなり国民の間に危機意識とも言える気持ちが芽生えつつあるようだが、昔から言われる「水と安全は只」という観念はなかなか抜けない。
日本人の家庭の中で外交防衛について話をするという家庭は何パーセントあるだろうか。恐らく数パーセント程度ではないだろうか。
筆者は、第1章で示した我が国の外交防衛に関する基本命題を解決するためには国民の間できちんとした理念が形成されなければならないという問題意識を持っている。国民の間で外交防衛に関する理念形成がなぜ必要かといえば、それは、我が国が民主主義を基本としており、国民の判断が選挙制度を通じて国政を左右しうる体制となっているからである。
国民の間できちんとした理念が形成されていないと、我が国の外交防衛の腰が定まらない、なぜなら議員を選ぶ国民にきちんとした理念がないと選出された議員も確固たる信念を持ちえないからである。では、我が国において国民の間で外交防衛に関する理念形成は十分な段階にまで達しているのだろうか。答えは残念ながら「否」である。
(1)国防とか外交は専門家に任せればよい、(2)日本は海に囲まれた島国だから、何とかなる、(3)太平洋戦争で大敗北を喫したため、戦争はもうこりごり、戦争のことは考えたくない、戦争のことを議論することも良くないことだ、(4)憲法の平和主義によって戦争は起こりえない、(5)いざとなったら、米国が助けてくれる、といった戦後の日本人に刷り込まれた意識が消えない限り、普通の理念形成は困難なように感じられる。
だが、次の点は日本国民の間に定着したと考えていいだろう。
(1) 我が国の政治には国民の多数意見が反映されるべきだ
(2) 日本の国土、日本人の生命財産は、外国によって不当に侵害されてはならない
(3) 日本は天然資源に乏しく、経済活動に必要とされる資源の大部分は海外から輸入しなければならない
(4) 外国とは可能な限り安定した友好的な関係を維持すべきだ
この日本人に定着した考え方を基底として外交防衛に関する理念を形成し、健全な防衛意識というものを国民各層に持ってもらわないと、憲法改正すら「絵に描いた餅」となってしまう。
 自由民主党は、健全なる国民政党であり、日本の中核を形成する最大の政治勢力である。したがって、自信と勇気を持って国民に語りかけて欲しい。一般家庭の主婦に「日本の安全保障は身近なものなのね」と感じてもらえる雰囲気造りにもっと汗をかいて欲しい。筆者も、及ばずながら、一人の党員として老骨に鞭を入れていく所存である。
 
第3章 アジアと日本
(1) 中国との関係
 現在の中国は、共産党が指導する社会主義市場経済という特異な経済体制を取っているユニークな国家である。1970年代末に改革開放政策を掲げて外国からの資本を導入し、多くの資本主義的ノウハウを実践している。21世紀の半ばには日本経済を追い越し、米国経済に肉薄する可能性があると見られている。
それ程の勢いであるから、アジアでは勿論、世界的な規模で中国の影響力が増大しているように感じられる。経済的に力をつけるということは、軍事力も増大するということである。
「アジア外交と日本の防衛」という場合、中国との関係をどうするか、強大な軍事力を持つ共産主義国家としての中国とどのような分野でどのような協調を保ち、かつ日本の国益を維持拡大していくかは、21世紀の日本が抱える最大の課題である。
中国は、核戦力を持つ軍事大国でもある。空軍、海軍の拡充は止まることを知らないようだ。近い将来、航空母艦を中心とする機動部隊の構築も現実となると見る専門家は少なくない。特に、海軍の充実は気になるところである。外洋に進出しようとする意図を隠そうとしない中国は、日本や台湾を含む西太平洋地域で米国の軍事プレゼンスと対峙することがあるかもしれない。
(2) シンガポールに見た自主独立の気概
 シンガポールは赤道直下に位置する小さな島国である。その面積は日本の淡路島ほどしかない。1965年、当時のマラヤ連邦から独立した新しい国家である。天然資源は殆どないが、国際的な金融経済の情報センターとして重きをなしている。
 この小さな国家は、外交防衛の分野で高い意識を保持しているように思える。なぜなら、西には巨大な人口を有するインドがあり、東には人口2億人以上を有するインドネシアがある。生活インフラは北に隣接するマレーシアに依存している。多くのハンディキャップを持つからこそ、外交防衛に心を砕き、安全保障環境の安定に細心の神経を使っている。
 一般のビジネスマンも国の安全保障については高い関心を持ち、異口同音に外交防衛の重要性を口にする。民間の人間でも、自国の安全は自らの努力によって守り抜くという強い意志を持っている。その意識の高さは、日本人にも求められるものであろう。
(3) 東アジアを揺さぶる台湾問題
 1996年3月、台湾において初めての総統選挙が実施された。チャイニーズ(漢人)の社会で国家元首が国民の選挙で選出されるということが無かっただけに、国際的な関心を集めた。この選挙に異を唱えたのが北京の中国政府である。台湾近海にミサイルを打ち込んだのである。
北京の言い分はこうである。「この選挙は二つの中国を作り出す策謀であり、絶対に容認できない」というのである。
 台湾が中国の一部であるか否かの議論はともかく、台湾が現在の北京政府の統治下にないことは事実である。にもかかわらず、自己の意志を軍事的威嚇によって押し通そうとしたことは危険なことである。平和と安定に赤信号を点滅させることである。
 北京政府は「台湾は中国の固有の領土である」「二つの中国、一つの中国・一つの台湾に断固反対する」「台湾との統一を阻むなら軍事力の行使を躊躇しない」と公言している。
 台湾は民衆の選挙によって総統ばかりでなく主要な都市や地方自治体の長、議員を選出する自立した民主主義国家である。中国は、この存在を否定し、軍事的に威嚇し、かつ様々な工作によって台湾の存在を消滅させようとしている。このような行為は東アジアを不安定化させることから容認できない。日本政府は、このことをはっきりと北京政府へ申し入れるべきである。
 台湾と中国の関係、いわゆる「両岸関係」は、台湾の独立を認めて、共存共栄を図ることでしか解決できないと考えるが、どうだろうか。

第4章 日本と米国の関係
 「アジア外交と日本の防衛」を云々する場合、米国との関係を抜きに考えることは不可能である。「日本の防衛」は日米安保条約と不可分の関係にある。しからば、日本と米国との関係は対等な関係なのか。日本は米国が必要とする基地を提供している。米国は日本の基地があるお陰で太平洋からペルシャ湾までの広い範囲に強い発言力を維持できている。一方の米国は、日本の安全保障に責任を負っている。この関係は、一見すると、双務的であり対等なもののように見える。
 しかしながら、日本の首都圏に外国の軍隊を駐留させることの違和感は拭いがたい。安全を護ってもらう立場と「核の傘」を提供している立場は対等のわけがない。
この部分を何とか修正しないと、本当の意味での自主独立の気概は生まれてこない。アジアで初めて近代化に成功した日本人が誇りを持って世界に出ていくためには避けて通れない課題ではないか。