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三澤 廣氏の活動報告
(作家)

  皇室典範(H23-8-25)


十年余り前に書いた文ですので、そのつもりでお読み下さい。

 平成十七年、小泉内閣は「皇室典範に關する有識者會議」を設置し、女帝および女系天皇の即位を認む可しや否やを諮問す。翌年に至りて、會議は、滿場一致にて、女帝および女系を認め、剩(あまつさ)へ、男女は全く平等にして、嫡系傍系の男子ましますとも、更に皇統に近き内親王あらせらるるに於ては、これを優先すべしとの答申を出したり。

 かくの如き、國論を二分する微妙なる問題に於て、滿場一致の決論に達せんとは、思ひの外の椿事(ちんじ)なり。
 イスラエルには、古來、滿場一致を以て出したる議決は、却つて信を置く能はざるとのゆゑを以て、これを斥くる慣はしあり。滿場一致とは、あるべからざるの異樣なる事態にて、裏の事情ありと推測せらるればなり。
 有識者會議の滿場一致もまた、尋常の事態にあらずと斷ずるの外なし。
 そもそも、皇室典範改正を圖りたる當時のsc官房長官は、女系天皇を推戴せんとの志あり。恣(ほしいまま)に、女系贊成論の識者のみを選別して、會議を構成せしめたり。初めより強引に女帝女系を認めたる改正を成さんと謀りたるなり。然而(しかりしかうして)、政府の專斷に非ずとの態(てい)を繕はんがために、會議を招聘したるに過ぎず。
 諮問したるに非ず、政府に代りて結論を述べさせたる而已(のみ)。
 をりしも、秋篠宮妃殿下御懷妊のことありて、改正の作業は中斷し、やがて悠仁親王殿下の御生誕を見るに到る。答申は反故と化したり。
 皇祖皇宗の~靈照鑑(しんれいせうかん)上(かみ)にありて、皇統の危機を救ひたまへるにあらずや。

 因みに、sc官房長官は、某元「國聯」大使と昵懇の間柄にして、かつまた、有識者會議の座長なりし元東大總長は、その後「國聯」大學理事長に榮轉し、畏くも皇太子妃殿下には聽講生として、常々澁谷に通ひ給ふと仄聞す。
 時恰(ときあたか)も、官房長官は、北京オリンピックの開會式に皇太子殿下の行啓を願ひ奉りてありき。然れども、チベット彈壓の問題ありて、宮内廳は難色を示せり。官房長官は、元國聯大使の協力を得て、これを強行せんと畫したりとの噂あり。
 これを以て彼を見れば、符節見事に合し、一切の陰謀、白日の下に曝(さら)け出さるるの觀あり。天上天下、かくも怪しむべきのこと、未だ嘗て之あらざるなり。

 今、民主黨政權は、改めて皇室典範の改正を目論みてあり。
 およそ、民主黨には、かつての社會黨員變節して、非武装中立の理念を放棄し、政治家としての餘命を全うせんがために入黨したる者少なからず。
 一方、ありし日右翼の巨頭たりし小澤某も、心底、皇室尊崇の念薄く、萬世一系の尊きを齒牙にも懸けず。中間派の菅、鳩山等も只管(ひたすら)一身の榮達を願ふのみ。
 かかる輩には、もとより日本文化を尊重せんとの氣概なし。然らば則ち、國語教育の充實に反對して、小學生に不毛の英語教育を施し、片や、戰時の皇軍に濡れ衣を着せて、虐殺を爲したりとの妄説を喧傳す。西歐人の恫喝に屈して、鯨を食ふは野蠻なりと唱ふるもこの類なり。
 外國人參政權、夫婦別姓、人權法案の三大惡法を制定せんと企みて、いまだ果さざるといへども、なほその機を覗ひてあり。
 日本文化を悉く嫌惡すれば、その歸着する所、皇室輕侮の大逆に至るは必定(ひつぢやう)、爭(やは)か異と爲すべけん。

 凡(およ)そ、女系天皇論の據りて來たる所は、惡意にあらずば無智なり。
 惡意とは、國體をして瑕疵あらしめんとするの故意なり。
 そもそも皇御國(すめらみくに)の萬邦に冠絶する所以は、人皇(にんわう)第一代~武天皇より此の方、二千七百年に亙りて一系の皇統に繋がる現人神を戴くにあり。而して、萬世一系とは、男系の血筋を以て當今(たうぎん)に至りたるの歴史的事實を言ふなり。
 進歩主義に堕したる政治家は、左翼マスコミの動向に右顧左眄し、支持率を擧げんと欲するによりて、男女平等の風潮に乘じ、皇統の~祕を毀損せんと圖(はか)る。

 無知とは女帝と女系の別を知らざるなり。「過去にも女性天皇の存在したる上は、女帝を立つとも、傳統に悖(もと)るなし」との論、すなはち此れなり。
 この拙稿を讀み給ふ諸氏には、その別は釋迦に説法なれば、敢へて説明は割愛す。
 しかれども、かつて、小泉首相は、その別を辨(わきま)へず。ここを以て、惡意ある官房長官に乘ぜられたりと説く人あり。

 小泉首相は當時、左の如き發言をして、その無知を露呈せり。
 「愛子さまが天皇になつて、男のお子さまをお生みになつて、そのお子さまが即位なされば、男系でつなげるではないか。何が問題なのか」。

 笑はんと欲すれど笑ふを得ず。かくのごとき愚者の印綬を帶ぶる皇國の行く末、なんと暗澹たるに非ずや。
 無知は罪に非ず。さりながら、無知なる者の為政者たるは天を恐れざる大罪なり。

 皇統に屬する男子の御出生なきこと久しきに亙りたる平成十七年には、皇統斷絶せんよりは女系を認むるに如かずとの聲ありしも宜(むべ)なるかなとぞ思はるる。
 舊皇族の中より男子を選びて皇位に奉戴仕り候はば、萬世一系は護持せらるとの論もありき。然れども、舊皇族は室町時代に嫡流より別れたる傍系なれば、現在の皇家とは血の懸隔甚だしく、その即位は王朝の交替に外ならずとの説にも耳を傾けざるを得ず。
 愈々男系の絶え、萬策盡くるに至りたる曉には、女系天皇を迎へ奉るの外なしとは至極尤もの理なり。

 しかるに、既に悠仁親王殿下の御出生あり。今や、情勢改まれり。
 殿下御成人の曉には醫學の進歩も相當に期待するを得れば、男子の出生さほどの困難にはあらず。複數の男子の御出生を見るに至らば、皇統の安泰を憂ふるの要なからん。
 御成婚ありて後、男子の御出生なくば、女系天皇の容認を考ふるも一策なり。
 然れども、今はその時に非ず。春秋に富ませ給ふ親王のおはしますに、將來の皇統の危機を名(めい)として、女系天皇の擁立を濫りに口にするは、皇家(くわうか)の大事を思ふにあらず、~にまします天皇を人間世界に引き下し奉らんとするの大逆なり。
 これを畫策する為政者は、弓削道鏡、足利義滿の跡を慕ひて、無間(むげん)地獄に墮(お)つるの日、近からん。

 過日、宮内廳長官より提案ありたる、「女性宮家」の創設は、熟慮を要するのことなり。
 女性宮家の創設せられたらんには、進歩派は、當然、この宮家に皇位繼承權ありと主張するに至らん。斷じて許すべからざるの暴擧なり。
 しかはあれど、現在の宮家は、悠仁親王殿下を除き奉りては、男子の後裔なく、やがて、宮家は消滅し、皇家は藩屏を失ひて、式微せられんとの懸念なきにしもあらず。
 かくして、女系反對論(皇統護持派)の中にも、女性宮家の創立を願ふものあり。
 現在、未婚の皇族女子は、内親王御三方、女王御五方、計八人を數へ奉る。
 この八人の御方々の、御結婚後も皇族として留まり給ふべく、法を改正せんとの案が、女性宮家の創設なり。
 ここに於て、俄かに論點となりたるは、當該の女性皇族の配偶者および子孫を皇族と認むべしや否やの問題なり。
 これを認めたらんには、皇統に屬せざる男子を皇族に迎ふるなる、史上例のなき大事に至る。
 進歩派の人々は、固(もと)より天壤無窮の皇謨(くわうぼ)を貶(おとし)めんとの逆意あれば、これに贊成してあり。
 日本文化を重んずる同志は、身を挺して、かかる陰謀の成就を阻まざるべからず。

 一方、女性皇族を創設し、かつ萬世一系に瑕疵なからしめんとする新たなる方策もまた提案せられてあり。
 女性皇族の、舊皇族と御成婚あらせられたる場合には、配偶者も皇族とす。その男系子孫も皇族にして、皇位繼承權を有す。
 ただし、臣下(舊皇族以外)に降嫁あらせられたる場合には、配偶者は皇族とせず。皇族待遇は御當人一代限りとす。
 これ、極めて優れたる折衷案なり。

 ただし、將來において、これを進歩派が惡用するの虞(おそれ)なきにしもあらず。女性皇族の非皇胤配偶者との間の子孫に皇位繼承權を與へよとの暴論出づることあるべし。その懸念を拂拭する能はざるにおいては、この案は皇統の危機を孕(はら)むならん。

 私案は、女性皇族が、舊皇族と御成婚あらせられたる場合に限り、その後も皇族に留め奉るべしとす。當然、配偶者も男系子孫も皇族とす。
 臣下と御結婚あらせられたる場合には、臣籍降下を願ひ奉るの外(ほか)なし。
 (なほ、「皇籍離脱」なる造語を好む人々あり。「臣籍降下」と言ふべし。奇怪なる造語を氾濫せしめて國語を亂すなかれ)

 かくすれば、女性宮家に誕生せられたる若宮を皇位に即け奉らんとも、女系においては、百十九代光格天皇に發する近代皇家につながり、男系においては、萬世一系を護持することを得べし。舊皇族の現在の皇家との血縁薄きを、女系によつて補強せんとするなり。
 例へば、三内親王殿下のいづれかに於せられて、舊皇族某宮家の若君と御婚姻あらせられたる場合には、某宮若君は「親王」の稱號を受け給ふべし。
 内親王の御即位あらせられたる曉には、該親王殿下は「皇配(くわうはい)殿下」もしくは「皇婿(くわうせい)殿下」と申上げ奉る。
 かくして、その御子孫が代々皇位を繼承し給ふとも、天照大~の定め給ひし、「天津日嗣(あまつひつぎ)の榮えまさんこと、まさに天壤(あめつち)と窮(きはま)りなかるべし」の國體は搖ぎなからん。

 舊皇族との婚姻を強(し)ふるは人權を損ふとの異論を唱ふる者あり。
 強ひ奉るにあらず。臣下に降嫁し給ふに於ては、竹の園生(そのふ)に留まり給ふを得ず、と言へるのみ。舊皇族との婚姻を、宮家設立の條件とするは、些かも人道に背くことなし。
英國のエドワード八世は戀のために王冠を棄てたり。戀ゆゑに、皇族の地位を斷念するは、却りて麗しきロマンに候はずや。

 現實に、御八方の女性皇族のうちにて、舊皇族と御婚姻あらせられ給はん方の出で給ふことありや、との懸念はあり。知る人ぞ知るらめど、舊皇族に適齡の男子若干名のありと雖も、女性皇族との婚姻、手易きにはあらず。
 然れども、かくの如き大事においては、急激なる改革は能ふ限り避くべし。
 何はともあれ、この案を實施し、御一方も舊皇族と御婚姻あらせられざる場合には、また格別の案を提出すれば可なり。
 まづは、愼重なる策を講じ、然る後に、臣下の配偶者を持ち給ふ女性皇族に及ぶが相當と言ふべし。

 ただし、今は、悠仁親王殿下の御子孫、萬恆河沙(ばんがうがしや)の星と榮え給はん希望に溢れたるの秋(とき)なり。
 皇嗣なきの憂へ生じたるに及びて後、女性宮家の創設に着手せんとも遲からじ。
 皇室祭祀乃至(ないし)行事において、皇家(くわうか)を扶翼し給ふべき皇族の少なきを憂ふる聲あり。
 これを考ふるに、むしろ、舊皇族または御結婚後の女性皇族に、皇族にはあらずして、嘗ての華族の如き待遇を與へ、皇室の藩屏とする案は如何。無論、年金等格別の經濟的措置は講ぜず。かくすれば國民の反撥もなかるべし。

 悠仁親王殿下にはいまだ御齡(おんよはひ)五歳にておはします。たとひ今後の男子御出生あらずとも、皇統の斷絶には百年の餘裕あり。何を以てか急を要すと爲す。
 祖宗の~器の承繼は、日月の運行にも裝(よそ)ふべき天界の事象なれば、臣民の分を以て輕々に容喙(えうかい)する所にあらざるなり。