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三澤 廣氏の活動報告
(作家)

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医学部の不正  (H30-8-21)

医学部の不正   三澤廣

 東京医科大学の不正入試が問題になっています。
 一つの不正が噴き出すと、他の悪事が一斉に暴かれます。ということは後から出て来た悪事については、マスコミは前々から知っていたのに、黙っていたのです。一つ出れば叩きやすくなって、言論への抑圧が弱くなるのでしょう。
 東京医大の事件も、文部省局長が成績の悪い息子を大学への利益供与と引き換えに不正入学させたことから始まりました。続いて暴かれたのが入試における女性差別です。
 入試の際に、女子受験者に不利になるような得点操作を行って、つまり、男子の合格率が高くなるように計らったというのです。
 女性医師がふえると、出産や育児などで男性医師にしわ寄せがくるのが問題になっており、男性医師をふやせという社会的要請があるというのです。しかし、大学自体としては、そんな社会的責任よりも、自前の研究者養成に困るからという事情があったとも言われています。
 一時、私立の医大は金もうけだけが目的だとさんざん叩かれました。そんな中で、東京医大は比較的良心的だという評判があり、それだけ現在でも偏差値の高い私立医大の一つに数えられています。
 その東京医大で、これだけのことが行われていたのですから、他の大学ではもっとひどい不正が蔓延(はびこ)っているに違いありません。文部科学省はよく実態を把握して、指導力を発揮して欲しいものです。もっとも文部科学省の局長が不正に携わるのですから、誰にチェックしてもらったらいいのでしょう。

 男子受験生を優遇する方針については、弁護する人も少なくありません。女医にアンケートを取った結果、六割の女医が、東京医大の差別を「理解できる」と言っているそうです。その根拠は、「男性医師がいないと現場は回らない」とか、「休日、深夜まで診療し、流産を繰り返した。周囲の理解や協力が得られず、もう無理だと感じている」などというものです。コメンテーターにも同意見が多いようです。
 ひょっとして、東京医大もそういう社会的要請に応えようとしたのだ、と言ったらナイーブに過ぎるでしょうか。そんな良心的な大学だったら、文部官僚の息子を入れてやったりはしないでしょうから。
 女性医師の数を抑制すべきかどうかは、差別の問題にも絡んで来ますから、なかなかホンネを言えない難しい点があるでしょう。また、本当に一生を医療に捧げようという女性からチャンスを奪ってしまっていいのかという機会均等の問題も生じて来ます。
 一つだけ、絶対に許されないポイントは、女子は不利を蒙るということを受験生に事前に知らせていなかったことです。(とうてい言えないことではありましょうが) 受験情報誌を読んで、「東京医大はこれだけの点を取れば合格できる」と信じて受験したのに、実は女性はもっと取らなければ合格できなかったというのでは、正義も信義もあったものではありません。騙し討ちにあったようなものです。

 さらに、年齢の高い受験生を排除するために、三浪、四浪は女性と同じように不利な扱いをしていたとのことです。
 女性差別には敏感に反応する人たちも、年齢差別は「仕方ない」と言うのです。
 高年齢の人が医師になっても、長期間やれるわけではないから、養成にかけた金が無駄になるというのです。そんなことを言っていたら、男性より不利な立場にある女性は、総労働量が少なくなるから、差別されても仕方がないという理窟になります。
 職業選択の自由は、社会にとっての損得の外に、若者に生涯の希望を与えるという要素があることを忘れてはいけません。二世政治家を「子供の頃から政治に接しているから政治に向いている面もある」と言って弁護するのと同じです。(結構進歩的な人、特に女性が言うのですよ。二世はイケメンが多いから) どうして、効率の外に正義ということを考えないのでしょう。
 国立大学でも、医学部は入試の際に面接を行うことが通例になってきましたが、その一つの目的は「年齢の高い受験生を排除する」ことだったのです。それなら、始めからその旨を入学案内に明記すべきであるのに、「差別」と言われるのが怖いから、誰でも入れてやるような振りをしながら、実際には入れてやらないのです。真面目な学生に無駄な努力をさせるのですから、こんな残酷なことがあっていいものでしょうか。
 「面接するとなんで高年齢の生徒を排除できるの?」などとナイーブなことを言わないで下さいね。面接には採点基準がないので、多浪生は「感じが悪かった」と口実を付けて、勝手気ままな減点することができるという意味です。

 男性医師が不足した結果、不都合が生じているのなら、医師の数全体を増やしてやればいいではありませんか。日本は医師が絶対的に不足しています。
 加計問題で、獣医師が足りているのか不足しているのかが話題になりました。足りているのか不足しているのかは、何を基準に計算するかが明白でないので、簡単には判断できません。
 ちょっと似ているのが、慰安婦の強制連行があったかどうかの問題です。慰安婦の給料は陸軍大将よりも高かったと言われています。強制連行で連れて来れるものなら、そんなに高い給料を払うわけがないではありませんか。そのことだけで、強制連行がなかった傍証になるのです。
 知人が「強制連行した良心の咎めがあったから、高い給料を払ったのではありませんか」と訊きました。物を食べている最中ではなかったので、噴飯しないですみました。一人や二人の良心的な業者がそうすることはありうるでしょうが、慰安婦はことごとく驚くべき報酬を得ていたのです。
 強制連行で連れて来ることのできる女性に、業界全体が高い給料を払うということは、経済学の法則に反するからありえないのです。「(経済には)神の見えざる手が働いている」のですから、報酬は需給関係で半ば自動的に決まります。

 獣医師の実態は、私の周囲に獣医師がいませんし、情報が少ないので、よくは知りません。しかし、医師の場合は、人数が不足していることは状況証拠から明らかです。状況証拠とは、まあ、傍証とほぼ同義ですが、医師の給与が、慰安婦の場合と同じように、他の職業と比較して桁違いに高いことです。需給関係を考えれば、医師が余っていたら、民間の病院が医師を雇うのにあんなに高い金を払うことはありえません。
 医学部入試の面接では、「どうして医師になりたいのですか」と訊かれたとき、マニュアル通りに「人の命を救いたいから」と言わなければなりません。「おばあちゃんが癌で死んでしまったから」とお涙頂戴物語を付け加えればもっと効果的です。おばあちゃんが生きていても発覚しませんから大丈夫。間違っても、本音を言ってはいけません。「格差社会の頂点に立ちたいから」と正直なことを言ったら落ちますよ。
 本当は誰でも知っていることですが、面接試験でいい点を取ろうと思ったら、偽善者になるしか仕方がないんですよ。

 かつて歯科医師は医師よりも高い給料を取っていると評判になったことがありました。しかし、今では診療所の経営に四苦八苦していると知り合いの歯科医師が言っていました。それも、歯科医師の人数が増えたからです。
 弁護士も、司法改革によって弁護士の数が激増した結果、収入は相当に下がっているとのこと。
 ある弁護士の説によれば、弁護士会はリベラルなので、自民党に対して政治力を働かせることができなかった。それゆえに、司法改革を強行されてしまったとのこと。
 医師は昔から自民党支持と決まっている上に、社会的影響力が強いので、自民党も医師の収入を減らすような政策を取ることができないというのです。五十年も前のことですが、医師会会長だった武見太郎氏は緒方竹虎自民党副総裁に医師優遇政策を強要して、拒絶されそうになったとき、「今度の選挙では医師会の票は自民党には一票も入りませんよ」と恫喝して屈服させたという話があります。

 世の中にはウラのウラのウラがあるので、ありえないことが起こっても、ウラを読めば納得できないことはありません。
 朝日新聞が贔屓の野田聖子氏を潰してしまったのも、何か理由がありそうです。一説によると石破氏を有利にすることが目的だったということですが、野田氏は立候補を断念した結果、安倍氏に接近していると言います。朝日がそこまで読めなかったとは思えませんから、不思議なことです。何があったのでしょう。でも、必ずウラのウラのウラがあるのです。
 もっとも、朝日は野田氏に関する情報を手に入れようと金融庁に問合せただけだったのに、野田氏が下手に騒いだために、朝日も無視することができなくなったという説も有力です。それが証拠に、その後の朝日の野田叩きは極めて甘い叩き方で、何か遠慮しているようにも見えます。(媚中派の朝日が媚中派の野田氏を応援しているという意味ですよ)

 話を元に戻しましょう。野田問題のウラのウラを想像するのは面白いのですが、医師の人数にもウラがあるというわけです。医師の人数を増やせば、この問題は万事解決するのではないでしょうか。予算をどうするんだという声もありますが、暴力団まがいの大学に多額の助成金を払っているのです。それをみんなやめさせたら、国立の医学部の十くらいは、簡単に作れるはずです。
 医師の絶対数がふえれば、女性医師が結婚したり出産したりしても、あるいは、高齢の医師がすぐに引退してしまっても、医療に差しさわりは生じません。万事、めでたしめでたしです。

 こんなことを言うと反対論が噴出することは間違いありません。
 まずは、医師の側から、「俺たちの収入が減るじゃないか」という苦情が来るでしょう。しかし、これについては、医師以外の人は喝采してくれるでしょう。医師と芸能人とスポーツ選手が戦後の平等社会を崩した最大の原因になっているのですから。
 また、医師をふやせば、質が下がるのではないか、という懸念をする方もいるでしょう。今、医学部の学生の質は、相当に向上しています。国立医学部は驚くべき偏差値を誇っています。かなり定員をふやしても、質は維持できます。問題は金がなければ私立医学部に入れないということです。もっと、正義というものを考えてもらいたいと思います。
 ついでながら、医師が増え過ぎた場合は、「一級医師」と「二級医師」と、医師にランク付けをしたらどうでしょう。米国にはboard certificateという医師免許があり、経験などを加味して、医師を昇級させる制度になっています。検討に値しませんか。

 マスコミが、なぜ自民党に有利な医師優遇政策に反対しないのか、理解に苦しむ所です。しかし、これにも必ずウラがあります。面白い研究対象です。