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三澤 廣氏の活動報告
(作家)

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想像性って何?  (H30-8-23)


 若い頃から天声人語を一生懸命読んでいました。若気の至りとはいえ、まさか好きだったわけではありません。あらさがしをするために読んでいたのです。最近、さすがに馬鹿馬鹿しくなって読むのをやめました。
 あれだけ、荒唐無稽、支離滅裂な文章というのは外にはないのではないでしょうか。
 記憶にある一番ひどかった記事は平成元年(1989)「ダライラマにノーベル平和賞を与えるのは、中国政府に対する内政干渉になるのではないか」でした。世界中の民族独立運動に全面的な支持を与える朝日新聞のコラムが、チベットに対してだけは冷淡そのものなのです。背景は説明するまでもないでしょう。
 私の記憶では上の通りでしたが、インタネットで検索したら、「天声人語」では出て来ませんでした。(間違いなく「内政干渉」と書いてあったのですが) 「朝日新聞社説 ダライラマ ノーベル賞」で出て来ました。社説は次のように書いてあったとのこと。

  平和のための賞が結果として、チベットの緊張を高めるおそれさえある。こんなことに
 なれば、「平和賞」の名が泣こう。

 「中国が怒るから、ダライラマにノーベル賞やったのはまずかった」と言っているのですよ。劉暁波に与えたのもまずかったのですかね。

 一番笑えたのは、九・一一の同時多発テロの後、ブッシュJr大統領が報復宣言をした時の記事。「小泉首相はすぐに米国へ飛んで、ブッシュ大統領に報復の空しさを説くべきだ」。これじゃあ、子供の使いじゃありませんか。そんなことをしていたら、小泉首相、ブッシュ大統領から頭を撫でられてしまっていたことでしょう。

 日本人は、科学系のノーベル賞受賞者が非常に多く、特に物理学賞受賞者が九人もいます。
 ノーベル物理学賞受賞者は、東大物理学科よりも京大物理学科卒業生の方が多いことがよく知られています。二十世紀末のある年、やはりそんなことがありました。誰の時だったかは覚えていないので、これも記憶に頼って書きます。
 「記憶に頼って書く」というと、「しっかり調べて書け」「出典を明らかにせよ」などと批判されるのですが、そんなことを言っていたら、調査能力の高い団体に属している人でなければ、何も書けなくなってしまいます。

 これは昔からの天声人語の中でいちばん惘(あき)れた記事でした。
 「秀才の東大でなく、鈍才の京都大学出身者がノーベル賞を取るのは、偏差値秀才には創造性が育たないという証拠だ」と書いたのです。
 「東大なら秀才、京大なら鈍才」とは、朝日がつねづねいけないと言っている「大学で人を差別する」の典型ではありませんか。
 しかも、明らかに受験に関する事実認識が間違っています。天声人語の作者はどうも、記憶に頼って書くことが多すぎるようです。しっかり調べて下さい。調査能力の低い団体に属しているのでしょうか。そうだったら免責しますが。
 理学部の一部の学科で京大の方が東大よりも難関であることは、優秀な理科系の学生なら誰でも知っています。
 ウラのウラを教えて上げますね。

 東大理学部に入るためには、教養学部理科T類に入学しなければなりません。因みに、東大は一二年の間は全員が教養学部です。三年になるときに学部学科を選ぶのです。理科T類の場合は、工学部と理学部(非生物系学科)が進むのが普通です。希望者の多い学科と少ない学科がありますので、二年間の教養学部時代の成績によって振り分けられます。
 将来ノーベル物理学賞を取るような学生の場合は、始めから物理学科以外には行きたくないという固い決意を持っています。そこで、東大理科T類に入っても、進学振り分け(進振り)のときに、物理学科に行かせてもらえないことになったら、何にもなりません。振り分けのための成績は、全教科(文系教科や体育まで)の平均点で決まりますから、物理の天才であっても、合格点を取れるとは限らないのです。
 それに対して、京大は入学試験のときから学科別です。理学部を志望して願書を出すのではなく、理学部物理学科を第一志望にして、受験するのです。理学部の中でも、物理学科はトップクラスの難易度です。東大理科T類よりも難関であることは受験情報誌を見れば一目瞭然です。難関ではありますが、東大のように、入った後で、将来の不安を感じなくてすむのです。
 これを人に言ったら、「成績が悪かったら第二志望に回されるというのなら、京大も東大と同じじゃないか」と言われました。
 この人、ちょっと論理的思考能力を欠いています。東大の場合、「物理学科に行けなかったら何にもならない」と考えて、東大を忌避して、京大へ行ってしまうのですが、京大の場合、物理学の天才が物理学科に入れないことはありえても、最初から忌避してしまうことはありません。その実質は相当に違います。優秀な学生を逃がす確率がずっと低いのです。
 そこで、本当に優秀な物理学志望者は、東大でなく京大を受験します。物理学科は人気が高いので、京大物理学科の合格圏偏差値は、東大理科T類の合格圏偏差値より上です。京大物理学科の学生がどうして「偏差値秀才」でないわけがありましょう。
 天声人語、途方もない捏造をしましたね。でも、これを書いた論説委員、何も分かっていないようですから、捏造ではなく誤報でしょう。
 ところで、朝日は数年前にも何か別のことで、「捏造ではなく誤報だ」と開き直ったことがありましたよね。それって、あんまりしょっちゅう言っていると、「私は馬鹿です」と言っているのと同じことになりますよ。

 朝日だけでなく、マスコミは昔から一貫して、「受験教育は創造性を損なう」と言っていました。何度も何度もそれを読まされました。ずっと昔のことでしたが、天声人語がそれを書いた数日後に、大学生が投書して、「受験教育は創造性を損なう」と鸚鵡返しを言っていました。この学生、自分で考え、自分の言葉で意見を言うことができないのですから、「創造性の損なわれた」人間の典型です。
 京大物理学科の学生は「偏差値が高い」からこそ創造性を持っているのです。

 高校生の「数学オリンピック」に対しては、マスコミは好意的なようです。創造性を育ててくれると言いたいのでしょう。面白いのは、数学オリンピックに入賞する高校生の全員が例外なく受験に強い高校に在籍していることです。受験教育で創造性を損なわれたはずの生徒が、どうして入賞できるのでしょう。
 将棋の強い若者は創造性が高いと言っても天声人語は反対しないでしょう。そこで、今話題の藤井聡太君ですが、名古屋大学教育学部附属中学から附属高校に進みました。名前を聞いただけでも、偏差値の高そうな学校だな、と思いますが、果たしてかなりの進学実績のある高校です。
 「受験勉強は創造性を損なう」というのが、マスコミの作った嘘であることは間違いありません。

 企業の人事担当者の座談会を雑誌で読んだことがあります。
 Aランク(早慶上智)とBランクの学校を比較して、こう言っていました。まだ、AO入試などが普及せず、ズルでは一流校には入りにくかった時代のことでしたが。
 「Bランクの大学の学生は、知識はあるが、知っているというだけで、それを仕事や実生活に生かせない。Aランクの学生は創造力があるから、知識を応用することができる」。
 なるほど。なるほど。偏差値が高くないと、創造力も育たないのです。
 マスコミが偏差値教育を排斥するのは、かつての日教組のスローガン「秀才を作ってはいけない」が頭にあるからです。秀才がいると一方には鈍才ができて、差別が生じるからとのこと。
 よくもよくも馬鹿なことを思い付けるものです。
 旧ソ連、中国、韓国が、日本の若者に勉強させないようにするために(どんなトクがあるのかは知りませんが)、日教組と外務省文部省、マスコミに指令を出してそうさせたのだという説があります。この辺がこの問題のウラのウラでしょうか。
 因みに、日教組の先生たちは、生徒には「いい学校に入って出世しようというのは人を蹴落とそうという利己主義だ」と言って、勉強をやめさせようとします。しかし、自分の子供は少しでもいい大学に入れようと必死です。横路孝弘さんのお父さんは、日教組副委員長でしたが、孝弘さんは東大を出て司法試験に受かっています。副委員長でなく委員長の息子で弁護士というのも二人知っています。なんかずるいなと思うのは私だけでしょうか。

 「日本の子供は勉強勉強でかわいそうだ」と言われていました。その時代からかわいそうなことなんか何もなかったのに、それを言われ続けたために、いよいよ勉強しなくなって、今では「日本の子供はアジアで一番怠け者」と言われるようになりました。
 私の行きつけの餃子の店の遼東出身の小母さんは、「うちの子供は中華学校に入れればよかった。日本人といっしょに勉強させたら馬鹿になっちゃった」と悔やんでいます。