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三澤 廣氏の活動報告
(作家)

  不思議な不思議な動画(R2-6-16)

リベラルと北朝鮮――不思議な不思議な動画を見つけた    三澤廣

 6月9日に、横田早紀江・拓也・哲也さんの記者会見が行われましたが、この拙文は拉致問題関係ではありますが、その前に書いたものですので、記者会見の件は反映されていません。記者会見の件については、また寄稿させていただくつもりです。

 インタネットで、洵に不思議な動画を見ることができます。
 四時間に亙るテレビ番組です。「北朝鮮帰国者から拉致被害者」というタイトルです。(https://www.youtube.com/watch?v=Plp01Egq1Jo)
 四回に分けて放送されたものを一本にしたのですが、長年に亙って分けて放映したのでしょうか。最初の分は一九九五年の作品だということですが、最後のあたりには、蓮池さんが帰国する映像まで出ています。総括の所では、「私たちは十年間追及して来た」と言っていますから、それだけに拉致の全貌がよく分かります。
 私の記憶によると、二〇〇二年以前にこんなにはっきりと拉致が事実であることが報道されていたことはないような気がします。なにしろ、土井たか子さんは、金正日が拉致を認めたときのテレビ番組で「驚きましたア。驚きましたア」と言っていたのですから(これが二〇〇二年)。
 まことに不思議な番組です。
 ひょっとすると、テレビ局が、拉致の事実を確認していながら、報道しなかった。つまり、この番組は制作されただけで、放映されなかったのではないかとまで疑いました。
 むろんちゃんと放映したようですが、インタネットでいくら検索しても、この番組の背景が分からないのです。驚くべき番組であるだけに、どなたか解明して下さいませんか。

 男二人女一人の司会者が話を進めて行くのですが、メインキャスターの顔が鳥越俊太郎さんにそっくりなのです。
 まさか鳥越さんが、こんな筋の悪い番組の司会をするはずはありません。鳥越さんといえば、日本に帰国した蓮池薫さんなどを「北朝鮮へ返せ」と主張した人です。その後も、核実験などについて、終始北朝鮮に媚びる発言をしています。
 ですから、よく似た別人だと思っていました。それにしても、似すぎている。鳥越さんには双子の兄弟がいるのではないのかと本気で疑いました。

 始まって二時間も経ってからやっと、本人が「鳥越俊太郎です」と名乗りました。最後の総括のときにははっきり名前が出ました。放映された番組では最初に紹介と挨拶があったようですが、インタネットの動画ではそこが省略されているようでした。
 女性も、後になってから分かりました。赤江珠緒さんでした。
 もう一人の男性は、石高健次という名前で、拉致関係の本を昔から書いている人ですから、鳥越・赤江ご両人とは対照的に、始めから北朝鮮には批判的だった人です。
 そして、製作は朝日放送(テレビ朝日)なのですから、あれれ、なんで報道しない自由を行使しなかったのかと頭がこんがらがってきます。
 本当のことを言って、この番組は名作です。私にとっては、新しい情報ももりだくさんでした。別に四時間パソコンに向かっていなければならないわけではありません。私は、この番組のURL(前述)を記録し、「2時間10分」というように、ここまで見たということをメモしておきました。そして、次はそこから見るというようにしたら、七、八回に分けて全部を見ることができました。
 北朝鮮関係について、これほどまでに綿密に描いてくれたものは、映画であれ、テレビ番組であれ、他には例がありません。北朝鮮の工作員だった辛光洙(シンガンス)が、どのようにして拉致をしたかということまで、懇切丁寧に解き明かされています。
 この辛光洙という人は、韓国で逮捕されて収監されていた所を、日本の野党議員百三十三名が釈放嘆願書を提出し、その中に土井たか子さんと菅直人さんが含まれていました。辛光洙はその十年後に恩赦で釈放され、北朝鮮へ帰り、英雄として迎えられました(2000)。
 鳥越さん、赤江さんは、これでもか、これでもか、というほどに北朝鮮の悪行を暴露しています。一九七八年に韓国の映画監督と女優が拉致された事件では、被害者は脱出して韓国へ帰りましたが、その前にこっそり金正日の肉声を録音しました。この番組では、独裁者が自分が拉致させたと被害者に告白している声まで聞かせてくれます。
 リベラルから見れば褒めたたえるべき北朝鮮の英雄・辛光洙を、鳥越さんも赤江さんも「シンガンス、シンガンス」と呼び捨てにしています。そんなこと、していいの?
 圧巻は、帰還事業と拉致との関係を見事に描き出していることです。一九五九年に始まった帰還事業によって北朝鮮に帰国した在日朝鮮人の人たちの、日本に残った親族が、脅迫されて拉致に加担したという恐ろしい話が盛りだくさんです。帰還した人を人質にして、拉致に協力させたというのです。他にも日本人協力者がいたことも示唆されています。日本社会党が拉致に協力していたという噂がありますが、それを連想させるような内容でした。
 朝日新聞が慰安婦強制連行のキャンペーンを始めたのは、拉致の噂がささやかれるようになった頃です。北朝鮮のイメージが悪くなるのを防ぐために、朝日が強制連行を捏造したとも言われます。そういう背景を考えながら見るといよいよ面白くなります。そして、この番組がテレビ朝日の制作という不思議があるのです。
 とくにアッと思ったのが、鳥越氏が「(この番組にかかわる以前は)今までなかなか拉致があったと思えなかった」ということに関して、反省の弁を述べていることです。へえええ、この人、そういう人だったのか。
 その後調べてみると、この頃の鳥越氏はかなり熱心に拉致問題に取り組んでいたのだということが分かりました。

 それにしても、リベラルのチャンピオンがこんな番組に関与していたのですね。リベラルから見れば、裏切り者ではありませんか。どうして、この人を、先年の都知事選挙で担いだのですか。
 そして、ずっと昔にこんな番組に関与して、北朝鮮の実情をよくよく理解している鳥越さんが、どうして、その後、北朝鮮べったりの発言をするようになってしまったのでしょうか。
 インタネットで検索すると、鳥越氏は「北朝鮮へ返せ」の外に、核実験に際しての経済制裁について、「北朝鮮が自暴自棄に陥り、理性的な判断ができなくなる可能性もある」という理由で反対しています。
 そして、「中国と北朝鮮の脅威はない」、「どこが日本の国を攻めてくるんですか?」、「もし、万一、ないと思うけど、万一、中国なり、北朝鮮は来ないと思いますよ。北朝鮮は日本を攻める意味がまったくないので、中国はあるかもしれない…(よく意味が通じませんが、発言のママ)」。
 もっとも、「中国が攻めて来るなんて妄想ですよ」とも言っていますが、これは都知事選の時期ですから、認知度が下がって、発言に整合性がなくなっていたのでしょう。
 鳥越さんは女には潔癖だと言われています(あの件が暴露されるまでは本当にそういう評価もあったらしい)から、まさかハニートラップに掛かったとは思えませんが、そうでなかったら、それを疑いたくなる所です。
 また、赤江珠緒さんも、インタネットには、「TV朝日『モーニングバード』司会。偏向した司会ぶりで有名」と書きこまれ、北朝鮮に宥和的で、安倍叩きばかりしています。
 一般人の場合、リベラルになるのは、情報弱者であり、朝日新聞とテレビしか見ないで、綺麗ごとを言うのが好きな人ばかりです。
 ところが、一般人から見れば専門家のような知識を持っていて、ここまで北朝鮮の実情を理解しながら、このように宥和的な意見を言える人がいるというのが不思議でなりません。
 しかも、この番組ではこんなにも北朝鮮を叩いているのですよ。その後、このお二人に何があったのでしょうか。どうして、今のようになってしまったのでしょうか。さらに、この番組の最後の総括では、鳥越氏は他のメディアが拉致問題を報道しないことに怒りをぶつけているのです。

 私は、「この人がなぜこんなことを言うのか」とか、「政治家・外務官僚・ジャーナリストなどが中国に媚びるとどんなトクがあるのか」などとかを分析するのが楽しみなのですが、この鳥越、赤江両氏の場合は、全く私の想像力を超えた所にいらっしゃるようです。わけがわからないのです。
 知人に意見を求めたら、「あの二人、何も考えていないからだろう」と言いました。非常に分かりやすい説明ですが、それが正解だったらあんまりです。

 しかし、一方では、リベラルの立場でありながら、二〇〇二年以前から、ここまで拉致問題を追及していたということに関しては、相当に鳥越さんを評価しなければいけないのではないかとも思われます。
 そして、それに対して、二〇〇二年のあのときまで、「拉致はない」と言い続けた人々の心無さには愕然とするのです。
 社会党の幹部は、ずいぶん前から拉致を知っていたのではないかと言われています。リベラルの学者たちはみんな「拉致はない」と言っていましたが、中でもひどかったのが、「良識派」という評判のあった東大名誉教授の坂本義和氏。
 なにしろ、北朝鮮へ米を送ることに反対した家族会を誹謗して、「自分の子どものことが気になるなら、食糧が不足している北朝鮮の子どもたちの苦境に心を痛め、援助を送るのが当然だ」と言った挙句に、「それが人道的ということなのだ」と説教を垂れたのです。
 この発言は二〇〇〇年のことですから、金正日が拉致を認める前から、だんだんと日本では拉致の存在は常識になっていたのですね。歴史の勉強になります。あ、坂本氏の発言については、この番組で言っているわけではありませんが。
 人に説教をする人はいやなものです。「それが人道的ということなのだ」とは、典型的な中身のない説教ではありませんか。俺は東大名誉教授だから人にものを教えてやってもいいんだ、と思っていたに違いありません。
 しかも、この発言は、朝鮮総聯系新聞「朝鮮時報」で語ったというのですから、どこまで取り込まれていたかが察せられるというものです。こんな人が、口を開けば、世界平和の実現を云々していたのですから、そもそも平和を唱える人たちの心底のほどが知られるというものです。
 この人は一世を風靡した丸山真男門下だということです。丸山真男というと一部の人々から神のように崇拝されていますが(いまだに)、この神も所詮は坂本氏レベルの自己保身の人だったのではないでしょうか。
 他にも弁明を聞きたい人はたくさんいます。いずれ、名前を挙げて糾弾したいと思います。
 拉致の問題はまだまだそのウラがどうなっているのかよく分かりません。あるいは、相当部分が永久に闇の中に葬り去られるのでしょうか。
 「拉致はない」と言っていたオピニオンリーダーの人たちは大半が北朝鮮寄りの人たちです。だからこそ、拉致をしているということは直観的に悟っていたはずです。その人たちが敢えて「拉致はない」と言ったのは、「どうせ被害者が帰って来ることはありえないのだから、『拉致はない』と言っても、あとで叩かれることはあるまい」と多寡を括っていたのです。その残酷さには鳥肌が立つ思いです。
 何か、リベラルというのは、かつての連合赤軍のような非情の人たちばかりではないのかという気がしてなりません。北朝鮮に同胞を生贄として差し出した人間性は、過激派が仲間を惨殺した大菩薩峠事件(Wikipedia)を連想させずにはおかないのです。それが非人道的ということなのです。あれ、私も説教を垂れてしまいました。
 この悪魔のような人々。どうして何十年も経つのに、いまなお大手を振って言論界を闊歩することが許されているのでしょうか。ノーベル賞までもらって。

 学生時代、下宿の隣の部屋に同じ大学の先輩である在日朝鮮人の男性がいました。私が三年生の時に、理科系の大学院の修士課程に在学する優秀な人でした。私より二つ三つ年上だった計算になります。
 あんまり付き合いのない下宿で、その人とも階段ですれ違うときに挨拶を交わすくらいの仲でした。
 ある夜、私の部屋をノックする人がいました。その先輩だったのです。「これから僕の部屋に来ませんか」と訊くのです。彼の部屋で酒を飲もうというのです。
 私の部屋にあった缶詰(そうだ、懐かしい鯨の大和煮だったのだ)を持参して訪れました。
 いきなり彼は「君の顔を見て、前から知的な人だと思って話がしたかったんですよ」と言ってくれました。「知的な」というのは私の捏造かも知れませんが(ぼんやりと記憶にはあるのですが)、この程度なら嘘でも朝日よりずっと罪は軽いでしょう。
 そして、今日になって思い切って声を掛けたのは、一週間後に北朝鮮へ帰還することになったからだと言うのです。
 もちろん彼は、北朝鮮を褒めたたえます。挙句の果てに「共和国には性犯罪が全くないのですよ」と言いました。
 「男と女がいる限り、性犯罪はなくならないのではありませんか」と言ったら、いやな顔をされたので、それ以上言うのを控えてしまいました。
 理科系の優秀な人には、こういう単純な人が多いのですよね。湯川秀樹氏が子供みたいに平和運動に没頭していたのを思い出します。
 この人、その一晩だけしか話をする機会はありませんでしたが、今どうしているのでしょうか。ひょっとして北朝鮮で大物の科学者になっているのではないかと思って、名前をインタネットに打ち込んでみましたが、ヒットしませんでした。
 強制収容所に入れられているのでしょうか。いや、私も老人になりましたから、寿命の短いかの国では、私より年上の彼は、もう生きていそうにはありません。向こうへ渡って、どんなに後悔したことでしょう。大江健三郎さん、吉永小百合さん、良心が痛みませんか。