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三澤 廣氏の活動報告
(作家)

  言論の自由の危機(2)  言論弾圧の不気味な沈黙(R2-6-26)


 六月五日、横田めぐみさんのお父さんの滋さんが亡くなった。そして、九日に、お母さんの早紀江さんと、弟の拓也さん・哲也さんの記者会見が行われた。
 まことに衝撃的な記者会見だった。
 拓也さんは、安倍首相の尽力に対して感謝の意を述べるとともに、「マスコミの皆様方におかれましてもですね、イデオロギーに関係なくこの問題を我が事としてもっと取り上げてほしいと思っています」と述べた。
 そして、それを歯に衣着せないで言い直したのが哲也さんだった。「四十年以上も何もしてこなかった政治家や、『北朝鮮なんて拉致などするはずないでしょ』と言ってきたメディアがあったから、ここまで安倍総理・安倍政権が苦しんでいるんです」とは、まさしく我が意を得たりという思いだった。
 これこそ、拉致問題の核心だった。二〇〇二年に金正日が拉致を認めるまで、与党野党を問わず、政治家や評論家たちは「拉致は存在しない」と言い張るか、そうでない人は、「見ざる言わざる聞かざる」を通して来たのだった。
 拉致問題は半分は国内の言論の問題だった。そもそもが、昭和三十年代の在日朝鮮人帰還運動を推進した所に遠因があった。北朝鮮を「地上の天国」と褒め讃えたメディアだったからこそ、不安要素があるのを知りながら、見切り発車を強要して、十万人を地獄へ送り込んだのだ。
 この時、北朝鮮へ帰った人々の家族が、人質を取られて脅迫され、拉致に協力したという恐ろしい話を、鳥越俊太郎氏が懇切丁寧に解説してくれている。鳥越氏がそんな話をしたとは信じられないと言う方は、下のURLを見て戴きたい。
 (https://www.youtube.com/watch?v=Plp01Egq1Jo)
 「見切り発車」の人はまだ良心的な方で、中には、(特に北朝鮮を訪問した経験のあった人たちは)、彼の地が地獄であることを百も承知の上で、北朝鮮に阿諛追従するために、敢えて帰還事業に協力したのだった。
 そして、少しでも北朝鮮に批判的なことを言うと、「保守反動」「反共宣伝」ひいては「体制にへつらって保身する下劣な人間」と叩かれた。北朝鮮を批判したって、何のトクもなかったのだから、「保身」とは的を外した誹謗だった。
 日本テレビのキャスターだった櫻井よしこさんが、一九八〇年代(?)に初めて北朝鮮の人権弾圧を取り上げたが、他のマスコミはこれを追って報道することは全くなかった。
 その後暫くして、なんと週刊朝日が、この人権弾圧問題を連載予定で報道し始めたが、朝鮮総連などからの強硬な抗議によって、一回だけで連載中止となった。
 戦後の日朝関係(ついでに日韓関係も)の歴史は、言論弾圧の歴史だったのだ。二〇〇二年までは、マスコミは、北朝鮮のことを「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」と呼ばなければならなかった。拉致を認めてからは北朝鮮だけで済ませてよいことになったのは、犯罪者だから敬称を付けなくてよいというつもりだったのだろうか。
 それにしても、「拉致はない」と言っていた人たちは、共産党・社会党の人々の場合は、保身のためとは言え、それなりにイデオロギーに忠実だったと弁護できないことはない。
 それに対して、自民党の政治家が北朝鮮に異様に宥和的である場合には、何等かの利益供与もしくは脅迫(ハニトラなど)があることは間違いない。その代表が金丸信氏と中山正暉氏だった。
中山氏は(https://ameblo.jp/seizi1995/entry-10429037592.html)
 学者・文化人の中で一番卑劣だったのは坂本義和氏だった。北朝鮮へ米を送ることに反対した家族会を誹謗して、「自分の子どものことが気になるなら、食糧が不足している北朝鮮の子どもたちの苦境に心を痛め、援助を送るのが当然だ」と言ったのである。しかも、これを朝鮮総連の機関紙に登場して語ったのだから、利益供与がなかったとは言わせない。
 こんな人が東大教授だったんだよね。しかも、発言した当時には「教授」の前に「名誉」が付いていた。何が「名誉」だ。
 横田哲也氏の発言は、まさしくこの点を衝いたものであり、心ある国民は悲憤に堪えない思いでいたことを見事に代弁してくれたのである。

 この横田一家の記者会見の後の、マスコミの反応が、日本の言論の末期的症状を象徴していた。
 大手六大紙とテレビが報道しなかったのである。記者会見そのものは切り取って紹介したが、拓也氏・哲也氏のリベラルとマスコミに対する批判部分は完全に無視していた。その発言がなかったかのように沈黙を守ったのである。
 朝日・毎日・東京は北朝鮮と親密な関係にあるメディアだから仕方ないとして、なぜ産經新聞がこの部分をスルーしたのかは全く理解に苦しむ。インタネットの書き込みでも、疑義が呈されている。
 ただ、産經新聞は、マスコミ批判を除いた発言を要約し、かなり正確な拉致問題の経緯を付けて解説していた。さらに二日後にまた特集を組んでいるから、他の新聞とは一線を画していた。
 テレビは全く報道しない。やんぬるかな、とはこのことだ。

 私は週刊文春と週刊新潮に期待した。記者会見直後の木曜日、六月十一日、コンビニで立ち読みしたら、どちらも全く触れていなかった。会見の二日後だったから、間に合わないのも当然だと思って一週間待った。六月十八日、またコンビニへ行ったが、やはり載っていない。何か考えることがあるのかと思って、もう一週間待った。六月二十五日、やはり載っていなかった。
 記者会見そのものが存在しなかったような沈黙だったから、朝日新聞よりひどかった。
 週刊文春と週刊新潮は全マスコミの反日の風潮に抗して、民主主義を守ってくれる存在だと私はずっと思っていた。ところが、数年前からその確信が揺らぎ始めた。
 特に、モリカケ問題や安倍昭恵さんの桜を見る会や検察庁法改正について、リベラルを喜ばせるようなことばかり書いている。さらに、媚中・媚韓・媚朝記事も散見されるようになった。

 去年、「新潮45」が廃刊に追い込まれた。問題になった記事が妥当であったかどうかはさておき、記事の内容が政治的に糾弾されて雑誌が潰されるというのは、言論弾圧も病膏肓の段階に達したのである。
 内容次第で潰してもいいというのなら、朝日新聞は慰安婦報道で紛れもない捏造をしたのだから(朝日は認めていないが)、廃刊になって然るべきだろう。しかも、「新潮45」は記事の内容が差別的だったという。「差別」と言われればアウトになるのである。ところが、週刊朝日が橋下徹氏の出自を誹謗した二〇一二年の記事はどう弁解しても差別である。どうして、右派系の雑誌は糾弾され、左派の新聞なら手心が加えられるのだろうか。
 小林よしのり氏は右だか左だか分からない人であるが、二〇一七年の百田尚樹氏の「百田一橋事件」(https://www.sankei.com/premium/news/170627/prm1706270001-n1.html)に際しては、「真の「言論弾圧」とは、権力が民間人の言論を弾圧することを言う。民間人の批判や圧力で、講演会が中止に追い込まれる場合は、主催した奴らが腰抜けだったということに過ぎない」と述べた。
 これは結局の所、「右からの弾圧は許せないが、左からの弾圧はかまわない」と言っているのである。ナチスは政権を奪取する前に、テロまがいの暴力で反対派の言論を封殺した。しかし、政権奪取前のナチスは権力ではなかったのだから、「この暴力は言論弾圧ではなかった」と小林氏は言うのだろうか。
 中国で民主化運動に携わって、日本に定住した石平氏は本物の弾圧を経験した人である。この人が望月衣塑子氏を非難している。望月氏が「権力と戦う」と言っているのに対して、石平氏は「何のリスクもない所で『権力と戦う』と言ったって」と揶揄したのである。
 中国や北朝鮮の権力は恐い。日本の権力は恐くない。同じ「権力と戦う」と言ったって、必要な勇気が何百倍になるか考えてみるがよい。
 香港で「学民の女神」(民主の女神)と呼ばれるアグネス・チョウ(周庭)氏は、国家安全法が成立したら、逮捕されるのではないかと恐怖に戦(おのの)いている。日本人ジャーナリストに向かって「生きているうちに、もう一度、日本に行きたかったです」と語る悲痛な声を日本の大手マスコミは決して取り上げない。
 望月氏は、横田記者会見についても、国家安全法についても、沈黙を守っている。リベラルが政権の座についたら、どんな恐ろしいことになるのか察しがつくというものだ。現に、菅直人氏は首相だったときに、新聞社の幹部に対して、「あの記者、なんとかならないのか」と言ったことがあるそうだ。
 また松本龍氏は、菅政権で、内閣府特命担当大臣(防災担当)と環境大臣を兼任したが、宮城県知事と会見した際に、常識では考えられないパワハラをした。敬語なしの命令口調で叱責した上に、これを聞いていたマスコミ関係者に、「今の最後の言葉はオフレコです。みなさん、いいですか、書いたらもうその社は終わりだから」と恫喝した。
そして、これを報道したのが、東北テレビ一社だけだったというのだから、今回の横田記者会見になんと似ていることだろう。下のURLは是非見て欲しい。これがリベラルの正体である。
 (https://www.nicovideo.jp/watch/sm14922423)
 老婆心ながら言っておくが、インタネットを開くと左上の隅にあるhttps:で始まる英字がある。これを消して、上の文字を入れるんですよ。
 
 週刊新潮や週刊文春まで口を噤(つぐ)む恐ろしい沈黙が日本の言論界を覆っている。
 インタネットでは、マスコミの「報道しない自由」に対して、凄まじい非難が渦巻いている。しかし、それもだんだん怪しくなっている。
 タイトルを見て、「これはマスコミ批判だな」と思ってクリックしてみると、「このプラウザは現在サポートされていません」とか「指定されたURLは存在しませんでした」とかいう表示が出ることが異様に多い。
 どこからか指令が来ていることは明らかだ。フェースブックさえ、リベラルから見て問題のある表現があると、警告が来て、場合によってはアカウントが停止される。
 新聞もテレビも週刊誌も、言論弾圧機関になってしまった。インタネットが最後の拠り所なのに、それが頼りにならないとなったら、これからの日本はどうなってしまうのだろうか。

 それにしても、週刊文春と週刊新潮はどういう理由で横田記者会見を報道しないのでしょう。それとも、これから大キャンペーンを打つつもりで満を持しているのでしょうか。
 どなたか解明して戴けないでしょうか。