要 望 書
新日本婦人の会は、女性の要求実現と子どもの幸せのために全国で運動している女性団体です。二OO三年
五月には国連NGOに認証され、世界の女性とも連携をひろげています。
私たち親にとって、子どもの成長はかけがえのない喜びです。とくに卒業・入学式はその節目となる大切な
行事であり、子どもたちの巣立ちにふさわしく子どもが主人公の式になるよう願っています。
ところが、こうした親や学校関係者の願いに反して、毎年「日の丸・君が代」をめぐって強制と混乱がもち
こまれていることは非常に残念です。
とくに「日の丸・君が代」を国旗・国歌とする法律が一九九九年に成立
して以来、国会での約束に反する締めつけが強まっていることに心を痛めています。
安倍首相は教育基本法改悪法案の審議のなかで、自民党議員の「学校で国旗掲揚がおこなわれていないことは法律違反」との指摘に対し、「自国の国旗・国歌への敬意、尊重の気持ちを涵養(かんよう)することはき
わめて大事」と述ペ、「国旗の掲揚や国歌の斉唱が行われないことは問題」と答えました。
しかし、二OO六年九月二一目、東京地裁は画期的な判決を下しています。東京の教職員四O一人が、卒業・
入学式などにおける「日の丸・君が代」の強制の違法性を訴えた事柄について、原告の訴えを全面的に認め、
「日の丸・君が代」の強制は、憲法一九条(思想・良心の自由〕と教育基本法一O条一項〈「教育は不当な支
配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負っておこなわれるべきものである」)に違反すると明確に述べました。
新日本婦人の会は、「『日の丸・君が代』についてはさまざまな意見があるので、学校行事には強制しないでください」と、自分の子どもが通う学校や教育委員会へ申し入れをしてきました。「天皇の国が永遠に繁栄しますように」という意味の「君が代」は国民主権を定めた憲法に明確に違反し、「日の丸」はアジアの人たちにとって、いまもなお侵略のいまわしい過去と結びついていることは忘れてはならない事実です。
安倍首相の東京地裁の判決をも無視した国会答弁は、時代錯誤もはなはだしいと言わざるを得ません。
二OO六年臨時国会で成立した改悪教育基本法は、「愛国心」の押しつけ、教育への国家の介入、競争と子どもをふりわける教育をいっそうつよめるものです。これによって、「日の丸・君が代」の強制がさらに強まることも考えられます。
校長先生をはじめ、学校の先生方のご苦労も多く、心労も耐えないかと存じますが、改めて、今年度の「日の丸・君が代」について、慎重なご配慮をいただきますよう、次の点を重ねてお願い申しあげます。
記
一、卒業式・入学式は、子どもを主人公にした行事とすること。
一、子どもと教職員の内心の自由を守り、「日の丸・君が代」の強制をしないこと。
新日本婦人の会住の江支部
代表 ××× |
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