■何の思想も持ち合わせていないものの政治介入により 歴史、伝統が崩壊する
  
  〜皇室典範に関する有識者会議の出した方針を考える〜

昨日、「皇室典範に関する有識者会議」は、皇位継承資格を女性・女系皇族
に拡大することを基本とする最終報告をまとめる方針で一致したという。政府は
有識者会議の結論を踏まえて、来年の通常国会に皇室典範改正を提出する構
えとのことである。

 その背景には秋篠宮殿下ご誕生以降、皇族に男子がご誕生されていないこと、
女性天皇や養子を認めない場合には現行皇室典範のままでは皇室が存続でき
なくなるとの危機感があるという。

 しかし小生は有史以来、確かに10代8名の女性天皇はおられるものの、どうし
ても男性・男系皇族が皇位継承をして来なければならなかった重い伝統、歴史
の必然性について、ここではあえて触れない。確かにほとんどの国民がこの皇位
継承の本質は理解していないであろうが、有識者会議では識者によるヒアリング
も行なわれているはずであるにもかかわらず、その結果が、女性・女系皇族に拡
大する方針なのだという経緯を問題にしたいのである。皇位継承の本質、伝統が
明確であるにもかかわらず、何故に旧皇族の皇籍復帰や現宮家への養子入りと
いった対応策こそ改正皇室典範に入れるべきであるのに、そうしないということで
あり、何故に本来的な結論にまでたどり着かないのかという疑問である。

 そしてこのように本来、正しい結論が厳然としてあるにもかかわらず、その方向
にいかない事例が昨日も並行して起きた。即ち自民党の山崎拓氏が中心となって
28日に結成されるという国立追悼施設建設に向けた超党派の議員連盟がそうだ。
英霊への追悼・慰霊が国内の純粋な問題であるにもかかわらず、そのことがわか
っていながら、中韓国との関係悪化を防ぐためには国民精神の分裂を招来するこ
ととなっても、国立追悼施設を建設しようとする構造は、有識者会議のそれとあまり
にも似ているのではないか。

小生には我が国の歴史、伝統が指し示している明確な結論が、なんの思想も持ち
合わせていないものの政治介入によって、かえって、歴史、伝統を分裂、崩壊させ
ている事態そのものに危機感を持つ。 
いわゆる識者と政治家はその時々をうまく乗り切ることだけを考えており、それに
よって歴史と伝統、英霊が語りかけている真実をいとも簡単に捨てようとしている
ように思える。およそ物事を考える次元があまりに違っていること自体を識者と政
治家に考え直してもらうしかあるまい。