■紀宮殿下のご成婚の日、近づく
 
 〜皇位継承問題で揺れる今だから、皇室尊崇の心持ちを取り戻したい〜

来る11月15日(火)は、紀宮清子内親王殿下と東京都職員の黒田慶樹
さんのご成婚の日である。天皇皇后両陛下には大変お慶びのことと拝察
申し上げるとともに、国民の一人としても一人でも多くの方々と心からお祝
い申し上げたい。

 勿論、紀宮殿下はご成婚と同時に皇室から離れられることとなるのだが、
長い間、国内外の様々なご公務に誠心誠意尽くされる一方、記者会見など
で国民に向けたお言葉を発せられる折には必ずといっていいほど、両陛下
の日々のご苦労にお触れになられ、皇室の伝統、女性皇族としてのご自覚
と周りの人々への心の染みるご配慮に溢れ、文字通り両陛下に最も近いと
ころで、両陛下の生のお声をお聞きになられて来られたお方である。

 先日、本会も府議会関係議員の方を介して、知事公室長にお会いし、祝意
表明のための記帳所設置の要望をした。これまでも知事公室から宮内庁へ
照合しているようだが、宮内庁は7日にご成婚の日に午前10時半から午後2時
まで宮内庁庁舎前に記帳所を特設すると発表したという。できれば都道府県
の役所の適当な場所において国民の祝意を表明できる場を設置して頂けれ
ばと願いたい。

それにしても紀宮殿下のご成婚に関しての報道がほとんど見当たらないとい
うのに、皇位継承問題については、女系・女性天皇を容認することを前提とし
て議論が進められている「皇室典範に関する有識者会議」の最終報告書が1
1月末までにまとめられるということに端を発し、三笠宮寛仁殿下が福祉団体
の会報誌上で女性天皇容認に疑問を呈せられたことをマスコミが取り上げ、
国民の間にも皇室伝統の永続性と変更にも関わる問題であることが認識され
始めてきている。

 小生には、今までの皇位継承が男系・男子継承が原則であった厳然たる
事実(もちろん女性天皇という例外もあるが)が一体何を意味するのかについて、
天照大神の神代から神武天皇以降、天降られた天皇霊が生き続いていること、
生物学的に神武天皇の遺伝子を引き継いでいること、また八木秀次先生が
言われるように、市民社会が生まれる前からの古来の歴史をそのまま反映し
ていることの唯一の存在が皇室であることなど、実に色々なことを学ばされる
のである。

 その意味では、皇室を戴いている国柄を考える機会となるのはいいことのは
ずなのだが、この国柄のあり方そのものが改変されるかもしれないという危機
的状況が進行していることは皮肉でもある。

しかし、三笠宮寛仁殿下が会報誌上で女性天皇容認に疑問を呈せざるを得な
かった、そのお心持ちの内こそ、今しばらく拝察申し上げる時間が必要ではな
いのか。拙速な議論こそ慎むべきであろう。

今だからこそ国民として紀宮殿下のご成婚を心からお祝いするという自然な
皇室尊崇の心をもう一度、かみ締めたいものだ。