■福知山駐屯地 創立55周年記念行事に参加して
 
       〜「即応」と「結果」を果たす自衛隊になるために、国民も努力が必要〜

 昨日は大阪府神社庁のご案内があり、京都の福知山駐屯地で創立55周
年記念日行事に参加するために、早朝、大阪から約2時間かけて聞き書きメンバ
ーと駐屯地に向かった。

 福知山駐屯地司令が、あの第一次イラク復興支援郡の先遣隊長であった佐藤
正久・一等陸佐であり、来年、本会で主催する行事でご講演をお願いしていること
と、実際の自衛隊員がどのような訓練を展開しているのか、この目で体験したい
という思いがあった。

 当日、寒気は身にこたえたが、秋晴れで絶好の記念日行事となった。一昨日は
前日祭として市内の広小路通りを市中パレードを行なったという。
 駐屯地正面には万国旗が張られ、学校の運動会のようなイメージを抱いたが、
早速、受付では多くの隊員が参加者を出迎えてくれた。
 そして駐屯地に隣接している福知山訓練場へ移動、式典が開催された。参加
者はざっと福知山市民、自衛隊関係者、隊員のご家族の関係者、約8000名位
はいたであろうか。

 配られたパンフによれば福知山駐屯地の歴史は明治31年に大阪城内から陸軍
歩兵第20聯隊が福知山に移駐して始まり、隊は勇猛健脚部隊として、数々の武功
を立て勇名を馳せたという。そして昭和19年、フィリビンのレイテ島において玉砕
し、
50年に及ぶ歴史に、その幕を閉じた。そして戦後、約5年間、国鉄教習所として
使用されていたところ、昭和25年、警察予備隊の創設に伴い、地元の人々の熱烈な
誘致運動によって「警察予備隊福知山駐屯部隊」として新たに誕生、昭和27年「保
安隊」、昭和29年「自衛隊」へと改編を重ね、今年で55周年を迎えたのである。
 その意味では福知山部隊は警察予備隊発足からの歴史とはいえ、明確に明治
時代からの帝国陸軍の系譜を継承していることに、歴史の重みを感じた。
 
 今日、駐屯地の主動部隊である第7普通科連隊は、福知山市をはじめ京都府9
市13町の防衛、警備、防災、広報を担当しており、昭和28年の福知山市水害救助
など幾多の災害派遣をはじめ地域の部外競技支援、地域行事への参加などして
いる。
 とくに今年はイラク復興業務支援活動に駐屯地に30名の隊員も派遣され、任務
を完遂して全員無事帰還した。

 観閲式は、観閲式参加部隊が観閲官である佐藤正久司令に敬礼、そして観閲官
が車で各部隊ごとに巡閲を行なう。中央部隊で佐藤司令が敬礼をしながら、ゆっくり
と一糸乱れることのない各部隊を見渡す。ここには上官と各部隊隊員との無言の張
り詰めた信頼関係がピーンと張り詰めた空気となって参加者にも伝わってくるものが
ある。命令一下、死をも厭わぬ使命を完遂するという責任のために、両者が固い絆
で結びつきあっているのは、時代が変遷しても変わらないものである。

 参加部隊は、第7普通科連隊をはじめとして、音楽隊、特科連隊、高射特科大隊、
戦車大隊、偵察隊、空挺団、ヘリ隊など、千僧、姫路、今津、習志野、青野原、八
尾、明野駐屯地から結集しているが、皆、覇気に満ちている。

 続いて佐藤司令が式辞をしたが、これも胸の打つものであった。司令は、「地域と
共にあると駐屯地」として、「規律正しい武力集団」として活動してきたこと、ここ
10数年の自衛隊を取り巻く環境は各種災害派遣、国際貢献、国民保護、武装工作員
対処に関する法整備が進むことにより、政府の命令や自治体の要請で自衛隊が運用
されるハードルが低くなったこと、それに伴い、自分達も意識変革をする時を迎えて

り、実運用に当たっては「即応」と「結果」がより求められるようになったこと、そ
して自分が司令着任以来、「任務の多様化への対応」「即応態勢の向上」「地域への
情報発信」に重点を置いてきたこと、自分達が国民の入っていき、自衛隊と国民の距
離を近づけさせることによって、自衛隊は日本国民のものであることを認識してもら
うよう努力しよう、と、力強く、澄んだ声で、重複することなく、隊員に訴えられ
た。

 観閲行進、観閲飛行の後、空挺団の落下傘部隊の降下があったが、高度1.5キロ
メートルからの点のように見えていた隊員が、しばらくして落下傘を広げ、ゆっくり
と空中で旋回していたと思うと、地上の目印にほとんど離れることもなく着地する操
作には驚いた。

 また敵陣への攻撃、テロリストが占拠している建物への侵入の模擬戦闘訓練では、
榴弾砲、短距離地対空誘導弾、74式戦車、60式装甲車、コブラ、飛行隊、ヘリコプ
ター隊など各部隊がそれぞれの役割によって、きわめて組織的に空砲とはいえ、大き
な砲音で実践さながらの動きを狭い訓練場一杯に展開したが、日頃の訓練が十分
にさなれている機敏な動きに思わず、うなってしまった。

 この実戦訓練が実際の戦闘地域で展開できないことが大きな問題であるのだが、
自衛隊員はいつでもどこでも行動ができる体制になっていることを実感した次第
である。彼らの訓練を見ていて、かつては「おもちゃの軍隊」と言われた時期もあっ

が、今日では本当にこのような戦闘になりかねない時代となっており、自衛隊員の士
気は否応でも高まっているが、同時に国民もこのような状況に真向かう勇気が必要で
ある。訓練を見る中で、自衛隊への信頼感がより増したように思う。

 その後、祝賀会食に参加、イラク展、装備品展示、広報展示などを見学したが、随
所に佐藤司令が言うところの駐屯地を「見て、触って、味わって」のキャッチフレー
ズが工夫して出ており、半日、国防について、とりわけ自衛隊は国民のものであると
いう、本来は国民の意識の向上による自衛隊への応援体制がどんなに大事である
か、国民の努力こそ必要であることを考えさせられ、大変興味深かった。