■自民党立党50年記念党大会

 ご承知の通り、昨22日、自民党は都内で立党50年記念党大会を
開催した。何より10年ぶりに改正した新しい「理念」と「綱領」では、新憲法
制定と教育基本法改正を目指すことが明記されたことは大きな意味がある
こと、更に新憲法草案を正式に表明したことは、不完全ではあるが、草案を
党として持ったこととなり、このことも新「綱領」に沿ったものであり、説明責任
を果たす姿勢が明確となっている。

 しかし、色々なところで指摘されているが、「立党50年宣言」の要旨を読む
限り新「理念」と新「綱領」を強力に実践していく気概とエネルギーが十分に
国民に伝わっていないのではないかと思われる。

 まず、先人がなした明治の改革、戦後の改革とは何であったのか、単なる
制度改革ではなく、改革前後で何を継承するかを検討する中で、本来的に変
わることのない国民精神を継承した事実について触れられず、更には歴史と
伝統と文化の「是」を選び、「非」を除くという文言は、都合の良い部分だけを取
り出そうとする歴史のつまみ食いのイメージがある。ありていにいうと、戦前と
戦後の歴史を分断しようとする自虐的な歴史観が感じられ、その前の「わが国
の歴史と伝統と文化を尊び」のくだりが白けてしまうのである。

 国立追悼施設建設構想、人権擁護法案、女系天皇容認を認めようとする皇室
典範改悪問題など、全ての問題が歴史、伝統、文化に関わっている問題であるが、
自民党の新しい「理念」と「綱領」の文言からは許容できるものでないはずだ。

 マスコミではこの大会が構造改革による「小さな政府」実現への決意の表れと
したが、国民が期待しているのは上記の問題に対する勇気ある良識的な決断で
あり、実は自民党はそれらの問題に直面することを自らで強いる「理念」と「綱領」
であることが、もうすぐわかることになるだろう。