■大阪市長選を考える |
先日の大阪市長選は結局、関 前市長が有力候補2名を破って再選された。 とりあえず、関氏が掲げた市政改革本部が示した改革案(マニュフェスト案)が 承認され、昨年来から暴露された市職員の厚遇問題、市当局と職員組合・団 体とのヤミ年金、ヤミ専従などにみる癒着関係、第3セクターの相次ぐ破綻や 財政危機について改革を断行し、正常の状態にして市民の信頼を回復してい くリーダーとして信任されたこととなった。 それにしてもこれほど市民生活に密接に結びついた危機的状態であるにも かかわらず、投票率が35%弱となったことはどういうことであろうか。確かに大 阪市は政令指定都市ではあるが、住民はどちらかというと生活しているという 実感よりも、職場に出ているという感覚があり、あまり自分達の町という愛着 感が持てないことが影響しているにしても、残念ながら、選挙期間中、各候補 の訴えには全く接することがなかったし、常に市民が市当局を批判的に見て いるせいもあり、前向きに選挙戦に臨もうとしていたとお世辞にも言えまい。 また従来、市長選には集票マシーンであった市労連が全く機能しなくなった こと、関氏が過去のしがらみを断つという当初の強い姿勢が、結局、再選を 狙ったために自公への協力を仰ぎ、自民が主張した民主抜きについても結局、 一部の民主の議員が関氏に協力したこともあり、今回の構図をわかりづらくし てしまったこともある。 大阪市再生の方向性は、関市長が市議会各会派との調整や圧力によるの ではなく、辞任直前に示したトップダウンの市長としての気概を示すことがで きるか、また改革の実務である助役のメンバーに誰を持ってくるかによって 決定する。 いろいろなデータから判断できることは大阪市が財政再建団体転落の瀬戸 際まで追い詰めたのは、労組であり、それを黙認、容認した市当局であり、それ をチェックしてこなかった議会であり、その議員を送り込んだ市民にある。小生 には、労組だけに批判を転嫁するのは片手落ちだと考えており、危機と責任の 所在こそ市民が自覚しない限り、大阪再生の道はないと思っている。 まず関市長の采配を注目したい。 |