■外から見た皇室のご存在の重みを再確認した松井先生の講演

−印象に残った「伝統とは歴史の事実であり、理論を越えたもの」
   という言葉

〜「天皇陛下のお誕生日をお祝いする府民の集い」に250名参加〜

昨23日(金)、日本会議大阪が主催して「天皇陛下のお誕生日をお祝い
する府民の集い」が、大阪府神社庁会館で開催され、年末の忙しい中、
国会議員1名(代理)、府会議員2名をはじめ約250名の会員の方、支部
の呼びかけによって初めて参加者があった。

 事務局からも案内状を送付しただけで関係団体には動員のお願いを
しなかったにもかかわらず、会場一杯になったのは、女系天皇、長子優先
の継承など容認した「皇室典範に関する有識者会議」が提出した報告書が
皇室の伝統が揺らぎかねない内容であることから、にわかに皇室と伝統につ
いて関心を持った方が多いからと思う。

 第1部の奉祝式典では、柳澤運営委員長からこの1年間の国民運動の流れ
が説明されるとともに皇室典範改悪の動きについて断固戦い抜いていくという
決意が述べられ、来賓を代表して吉田府会議員が祝辞を述べられた。祝電
披露の後、全員で「天長節」を2回斉唱、聖寿万歳で式典を終えたが、小生は
様々な課題が噴出している中でも、お誕生日に当たって、天皇陛下が数日の
大雪の被害にあっている人々のことを思われている会見などを思い出し、胸が
熱くなる心地がした。厳粛かつ緊張感のある式典だった。

 続いて第2部の記念講演は「皇室と日本の伝統」と題して、大阪国際大学
教授の松井嘉和先生が講演された。
 講演では先生が長年、海外での滞在経験からタイ、カンボジアを例にとり君
主国と共和国との違い、君主制の廃止によって国が壊れる、ということの意味、
政治に巻き込まれた王政の悲劇について語られるとともに、平成14年、両陛下
のポーランドご訪問の際、シベリアに抑留された人々の孤児が日本赤十字社の
援助によって祖国帰還を果たした御礼を日本の政治家でなく、両陛下に対面し
て伝えたこと、ポーランド大統領夫妻主催の晩餐会の折に、日本とポーランドの
交流の歴史について、「古事記」の研究をされている学者や長崎で人々のため
に尽くした神父や修道士について、お触れになられた天皇陛下のお心遣いなど
を紹介された。体験に基づくお話は初めて聞く内容で新鮮であった。

 また国際交流基金でご一緒された高円宮殿下についてのエピソードについて
も触れられ、殿下の大学時代のご学友の先輩、後輩の名前を努めて覚えられ
るなど、気さくさの内にも人々への細やかな心遣いがお持ちであったことを紹介、
皇太子殿下の後見役としての明確なご自覚をお持ちになられ、藩屏としての
お立場を貫かれたことなど、親しみ深くお話された。

 最後に有識者会議が出した報告書の内容については政治、法律の問題とい
う以前に大きな問題があると指摘された。全体にわたって使用されている「象徴
天皇制」は現行憲法下の天皇と2千年に及ぶ歴史と伝統の天皇を分断する考え
が背景にあること、さらに「伝統とは人によって様々な考え方、捉え方がある」と
断定しているが、伝統とはそもそも歴史の事実そのものであり、理屈や理論を
超越したもので、端的に言えば昔からずっとやってきたもので、様々な考え方や
捉え方があるということはあり得ないと話された。

 外国体験を通じて外から見た皇室のご存在の重さ、高円宮殿下との語らい、
ご専門の日本語研究から報告書の文脈がいかにおかしいかなど、迫力と説得
力をもってお話して下さり、参加者一様に深い感動を覚えるとともに、大変好評
であった。

 続いて第3部では日本の童謡「愛国の花」「故郷」を全員で唱和した。日本人
の心を呼び覚まし、陛下への感謝申し上げる気持ちが否が上にも高まったので
はないかと思った。

 最後に事務局より皇室典範の改悪の動きに対して、国会の状況の説明、皇室
典範改正準備室への抗議、要望のお願いや年明けの通常国会へ改正法案上
程の阻止に向けた地元選出国会議員や地方議員への男系継承と拙速な改正
の動きに対して慎重な審議を求める署名活動を展開することへの協力、また場合
によっては地区の緊急集会を開催していく方針を提起した。

 「府民の集い」と銘打ちながらも集会の様相を呈したが、参加者一同、皇室と
我が国の伝統の重みを改めて確認しつつ、それを国民として守るにはどうしたら
いいのかを見直すひとときになったように思う。

 お手伝いの皆様、お疲れ様でした。当日の様子は本日の産経大阪版でも記事
として掲載された。