■お金は自治体の決断によって生まれ変わる

     〜ヤミ退職金「精算金」が子供育成基金に 吹田市が検討〜

産経紙夕刊12/6付けによると、“ヤミ退職金”との批判を受け、「大阪府市町
村職員互助会」の退職給付金制度が11月末に廃止されたのに伴い、各市町村
に近く返還される「精算金」を活用して、吹田市では子供の健全な育成を目指す
「こども笑顔輝き基金(仮称)」の創設を検討していることが明らかになったとい
う。

 この退職給付金制度は、会員の掛け金と市町村からの補助金で運営してきたが、
大阪市の職員厚遇問題を契機に「公費を使ったヤミ退職金」との批判を受け、同互
助会では先月末で制度を廃止した。廃止に伴って約692億円の積立金のうち、会員
の掛け金累計額を各会員に返還、残る約100億円は補助金を拠出していた府内42
の市町村などの合計130の団体に、精算金として今月中に公費の拠出額に応じて
返還されるという。

 小生が痛快と思い、かつ注目したのは吹田市が約5億5千万円の精算金の返還
のうち、約4億8千万円を特別財源に繰り入れ「こども笑顔輝き基金」(仮称)を創

する方針で、12月議会に条例案を提出、続発する子供を狙った犯罪防止策などに
役立てるという。

 確かに大半の市町村については一般財源として処理するとのことで、逼迫した
自治体の財政の穴埋めにすることも一方法であろうが、子供を犯罪から守るため
の子供サポート隊などの設置の環境整備に使う表明はどんなに市民に対して心の
安らぎをもたらせてくれるものであるか、また夢を与えてくれるものであるのか、実

できる。基金の名称も「こども笑顔輝き基金」(仮称)というが、吹田市の職員の中
にもこのような気のきく人材がいるとは、少し安堵する思いだ。


 世には氏素性のわからないお金を外国の銀行などに預けることによって、浄化
させようとする「マネーモンダリング」を顔色一つ変えないで行なう手合いが流行
している中で、マイナスイメージを持った「ヤミ退職金」と称されるお金を、このよ

な市民が最も要望している子供たちの安全策へ使うという発想こそ、地方自治体
が本来もつべきものであろう。よく考えてみると、この精算金はその市町村に住ん
でいる人々の税金なのであり、それを誰だかわからない職員の退職金の一部に
変ったしまったのでは良識ある市民の泣き寝入りである。ほとんどの人は、この
税金が自分たちの町がよくなるであろうと信じて、納税しているのである。お金
そのものには何の罪もない。

 その公金をどのように皆に喜んで使うことができるのかが大事なのだ。吹田市
の決断は、そのことを端無くも表わしている。願わくば基金の具体的な活用を確実
に実践して頂きたい。