■ポビュリズムではなく、熱く政策と理念を議論する選挙戦であれ |
総選挙の公示日が近づくにつれて、自民党執行部の郵政民営化反対を表明した 議員の先生方への締め付けが厳しくなり、これらの先生方の公認を認めないこと から、国民新党や無所属での戦いに強いられ、その選挙区には悉くマスコミが「刺 客」 と称する自民党新人や「落下傘候補」の出馬が着々と進行している。 産経紙やFNN合同世論調査では52.5%が郵政民営化関連法案の否決を受け衆院 を解散した小泉首相の決断を支持し、衆院選後の政界再編に期待を寄せる国民は 8割以上にも上ったことが明らかとなった。少なくとも国民の大半が閉塞感打破を 願望していることはわかるのだが、いざ地元での選挙戦を考えた場合には、従来の 自民党支持層であった保守票が元自民党所属の候補者と自民党本部が公認した 候補者のどちらに投票したらよいのかは、正直なところ明確な基準がないのが実情 である。明確な基準とは、郵政民営化賛成か反対かだけで絞れるとしたら、果たして 国政選挙の名に値するのか疑問符がつく。 それだけ無所属で戦う候補者の顔ぶれの中で、正しい歴史観と国家観をもって 今まで、夫婦別姓問題、人権擁護法案問題、教科書問題、教育基本法改正問題など でわが国が違った方向に行きかけて絶壁で、文字通り国を救って来られた方が多い からに他ならない。少なくともその先生方は落選させることは絶対にできない。 自民党執行部が今までの地元最優先の利益誘導型の選挙戦略から党の理念や 政策を全面に押し出し、さらに言えばどこから出ても自民党の主張をし、対立候補者 と議論する候補者が出馬することにより、「政治とカネ」の悪弊が解消されていくと いう 大きなうねりが生まれる可能性もある。 しかし、その一方で、自民党執行部が急造した新人の顔ぶれを見た場合には、 もちろんご本人が最終的にご決断されたから何も差し挟む余地はないのだが、政界 とは別のところで活躍されておられる方々を起用しているように見える。逆にニュー 自民党の表情を出そうとしているであろうが、徹底したポピュリズムに立脚し、ご本 人 の将来のその道での貢献を本当に考えているのかどうか、疑問に思ってしまう。しか し、 一端、ご本人が出馬される限りは、是非、頑張ってほしいと思うし、応援したい。た だし頑張ってほしいと思える人は一部のみである。言いたいのは、利益誘導でない選 挙戦略はポビュリズムに堕する諸刃の剣でもあるということだ。 いまだ今回の選挙の焦点の輪郭ははっきりしないが、閉塞感を打破したいという国 民の声を与野党問わず、郵政民営化問題だけで判断を迫るだけでは、時間とかかるお 金が大いに勿体ない。ここに主役は良識ある国民であることを候補者につき付けるの が有権者の責務ではないかと思われて仕方がない。 |