■伝統保守派と郵政民営化反対の相関関係を考える
      
 いよいよ、投票日を迎えたわけであるが、今回の選挙戦は最後まで
国民にとって一体、何が焦点であるのかわからないままで、この日になって
しまった感が拭えない。

 その一つの焦点であろうポイントが、郵政民営化法案を巡っての実質的な
自民党の分裂であった。その結果、伝統保守派と人権擁護法案賛成派(夫婦
別姓推進派でもある)を標榜している議員も党内組と離脱組に分かれることと
なったが、その顔ぶれを見た場合、伝統保守派という、しっかりした歴史観と
国家観をもった議員の多くが離脱組に多かった。しかし、党内にも伝統保守派
の議員が少ないながら存在していることも事実である。

 従って、分裂の背景にあるものは思想的な対立ではなく、手段としての政策で
あろう。しかも離脱組の候補者の民営化反対理由を調べてみると、必ずしも執行部
の民営化法案に真っ向から反対しているのではなく、将来的に賛成であるが、まだ
議論が不十分でないかという条件付きの内容が多かったように思う。

 それにしても離脱組になぜ、多くの伝統保守の議員が名前を連ねているのか、
民営化反対と相関関係があるのか、結局、よくわからないままで投票当日を迎えて
しまったことは残念であった。恐らく誰もが疑問に思っていることだ。

 小泉首相が、民営化により全逓など組合勢力を潰すことをはっきり標榜すればまだ
わかるのだが、「郵政事業はなぜ民間にはできないのか、できるはずだ」とか、「民

化が実現すれば必ず経済はよくなる」といった論法だけ終始してしまった。

 考えるに伝統保守派の議員にとっては、この国のあり方について、郵政が先なの
か、
教育・憲法・安全保障が先なのか、その優先順位を見当した結果、後者こそ一番大切
だと判断したから反対を表明せざるを得なかったと説明できれば、一応納得できると
いう
ものだ。

 いずれにせよ、この国の行方を握っているのは我々国民である。この選挙結果を
正しい方向に導いてくれる議員こそ我々が必要としている議員である。そのことを肝
に銘じて投票したいものである。