■296議席の意味するもの
      
     〜自民圧勝の選挙結果を考える〜

一夜明け、自民296議席、公明31議席という与党の圧倒的勝利の衝撃の余韻が
まだ日本列島を覆っている。それにしても自民の地すべり的勝利を誰が予想しただ
ろうか。そして政権選択を訴えた民主の議席激減による没落をだれが予想しただろ
うか。詳細の分析は専門家にまかせることとして、民主が強いと言われた関西の地
においても悉く自民の議席に入れ替わったことは、間違いなく自民に風が吹いた。

この選挙結果で明らかとなったことを列挙してみよう。
まず小泉政権が目指した構造改革の本丸としての郵政民営化は国民的信頼を得る
ことにより、臨時国会での法案成立は加速化され実現されよう。

また自公の協力は深くなり、武部幹事長に至っては「全く違和感を感じないパー

ナーシップ」とまで言わしめるまでになり、自公連立政権は延命化されよう。およそ
衆議院で3分の2という絶対安定多数は実質的には全ての法案を通すことができるこ
とを意味する。しかし公明が議席を微減したとはいえ、自民との連立を最優先したの
は既に自民の身体の半分以上が公明党化することにより、今後、教育、憲法、安全保
障を巡って自民本来の政策を公明の力によって自縄自縛される可能性が大きくなった
とも言える。換言すれば、公明を背景とした圧倒的勝利は連立政権の性格を限りなく
左傾化する爆弾を抱え込んでしまったともいえ、果たして勝利そのものを素直に喜ぶ
ことができるのかという疑問を持たざるを得ない。

しかし民主の激減はそのマニュフェストの子細を見る限り、我が国の存立を危う
くす
る項目をあり、実は最初から支持を得ることができない代物であったのではないか。
しばらくは代表を誰が就任するかを巡って混乱するであろうが、より国民の信頼を勝
ち取る政党になるための試練とも言えよう。

そして郵政民営化反対の保守系無所属の勢力が減ったとは言え、一定の勢力を
維持し得たことは、今後、近い将来、起きるであろう政界再編を向かえて必ず、キャ

ティングボードを握る位置に存在することの意義は大きいだろう。

  国民は逼塞した戦後の政治構造そのものの改革への期待を、まず突破口の鍵を握

郵政民営化支持に託したのであったが、逆に民営化実現がなされた後の税財政改革や
教育基本法改正、憲法改正へと着実な改革へと道筋をつけなければ期待は失望に変わ
り、しっぺ返しを食らうことも覚悟しなければなるまい。

  考えてみると、衆議院の3分の2という数は憲法改正を発議できる数なのであ
る。
自民と公明が連立している間は難しいかもしれないが、自民単独の場合でも296議
席、そこに仮に民主の保守系及び保守系無所属の議員が結集した場合には3分の2と
いう数は決して難しくはない。自民が296議席を獲得したことはそれほど重い意味が
あるのである。

  その意味では伝統保守派が議席を失ったことは大きな痛手であるが、296議席を生
かすも殺すも国会議員と我々国民運動の自覚と覚悟である。とにかく我が国には残さ
れた時間は余りないのだ。