■いい「日本」を発信することによってイラク人との相互理解を実現した自衛隊 |
深い感動をもたらした佐藤一等陸佐のご講演 〜「建国記念の日をお祝いする府民の集い」に300名結集、 内閣部会で正論を貫くことを約された中山泰秀氏(衆議院議員)〜 昨11日、日本会議大阪が主催、「建国記念の日をお祝いする府民の集い」が 大阪府神社庁会館において、国会議員2名(うち本人1名)、8名の地方議員、 1名の首長をはじめ、約300名の参加者が集まって、盛大に開催された。 昨年より参加者が約100名増えたが、皇室伝統の歴史が揺らぎかねない 皇室典範改定問題への関心の高さと、記念講演に佐藤正久一等陸佐をお招き したことが大きいと思われる。 奉祝式典では大阪府神社庁の神殿への二拝二拍手一拝で橿原神宮遥拝、 国歌斉唱、主催者代表として柳澤 日本会議大阪運営委員長の挨拶に続いて、 来賓を代表して、急遽、駆けつけて頂いた衆議院議員の中山泰秀氏が皇室典範 改定問題について、基本的に拙速な論議に反対であるとともに、女系天皇、長子 優先には反対であること、さらに改正案が自民党内閣部会で議論される時には、 副部会長として、内から反対論を展開することを力強く訴えられ、参加者から盛ん な激励の拍手を受けた。 そして、 …今国会での改正見送りの公算が大きくなっている。しかし、予断は許されない。 我々は、万世一系の皇統を守り抜くため、改めて政府による拙速な皇室典範改 正案の国会上程に断固反対するとともに、皇室の歴史と伝統に基づいた慎重 な検討を強く求めるものである。 という決議を参加者全員の満場の拍手を持って採択され、早速、小泉首相宛に 送付することが確認された。 続いて紀元節の歌を斉唱、聖寿万歳と、奉祝ムードの中にも厳粛な雰囲気の入り 交じった集いとなった。 続いて記念講演は『イラクに赴いて想う〜イラクの復興支援と日本の安全保障〜』 と題して、第1次イラク復興業務支援隊長を務められた佐藤正久一等陸佐(陸自第7 普 通科連隊長 兼 福知山駐屯地司令)が講演されたが、通常では聞くことのできない イラク派遣の生の具体的な内容は、自信に満ちたはっきりとした口調、時にはユーモ ア を交え、またビデオを上映しつつ、実に説得力があり、また何回も胸に迫る部分があ り、 大いに感動した。 とくに約7ヵ月に及んだ復興支援隊を「佐藤商会」となぞらえ、全くゼロからのス タート の中、日本の店をサマワに出すに当り、いかに現地の人々との信頼と安全の「海」を 広げていくのかに心を砕いていったか、そのためにいい「日本」を発信していくこと の 重要性を強調された。 日本の良いイメージを与え、米英軍と差別化を図って日本独自の安全確保をする こと、同じアジアの友人として、サマワをひたすら愛する姿勢が心の通じ合える復興 支援につながっていくことを基本方針に据えたという。 そして住民に守ってもらうために安心感を与えること、本来持っている日本人の優 しさ をそのまま出し、相手を愛することが信頼と安全を勝ち取ることができるとされた。 そのためには笑顔で挨拶することを徹底的に隊員に練習させたこと、また情報交換 の 場でもある食事の場所でも用意されたコーヒー、紅茶、コーラは必ず飲むこと、あま りの 摂取で糖尿病になることを恐れたこと、隊員が外で現地人と接する場合には新しい話 題 を最低三つ持つことを課したことなど、実にきめ細かい所まで配慮した苦労話を伺う こともできた。 また、支援内容は医療支援、給水支援、公共施設・道路の建設支援であったが、最 初 はあまりにやることが多く、自衛隊の組織文化を打破することが必要と考え、組織体 から 機能体へ、調整型から朝令暮改対応型へ、縦割り意識を排除するなど、隊員の意識を 変えていき、とにかく現地のニーズに合致した支援方針と支援活動を展開することを 考えたという。ここには現地にとけ込むためにいかなる努力も惜しまない姿勢が伺え ると 思った。 自分達は単に元に戻すために復旧に行ったのではなく、イラク人の能力を高め、 イラク人が戦後を自分達の手によって立て直すためのお手伝いのために設計を考え、 生きる希望を持ってもらう復興のために行ったのであり、そのために現地人を全面に 出したという言葉は印象的であった。 そして自分達がイラクで活動できたのは、日本の歴史、諸先輩の築いた基盤があっ た からということを何回も感じたこと、現地人は日本の急激な戦後復興を成し遂げたこ と や、日露戦争でイラクに圧倒的な影響力を持ったロシアに勝った日本人に大変な敬意 を持っており、バスラなどからも20年前にお世話になった日本人にお礼の言葉だけを 伝えるために来た人もいたことなども紹介された。 任務を終えて帰ってきて、ますますその思いが強くなり、自分達は先輩方によって 守 られてきたこと、だからこそ自分達が次の世代に日本のよさを伝えていくことが大事 で あるという思いが強くなっているという。 また自衛隊は治安維持がよくなるまでの第一走者であること、相手の「目線」が大 事で あり、決して見下すことはしないことが大事であると語られた。 縷々具体的なお話しの後、結局、イラク人も日本人も「幸せになりたい」という気 持ちは 全く同じであり、だからこそ現地人との相互理解は実現できると確信したという。 そしてイラクに派遣される前には、イラク派遣の理由をいろいろ聞かされたが、現 地に 行けば目の前に困っている人がいて、その人達をなんとか助けてやりたいという気持 ちが 全てで、その現実の前には色々難しい理由など関係がなくなってしまった、と言われ たが、 これが佐藤商会の精神であり、かつてのサムライ精神であると思ったのである。 ご講演の後、質疑応答の時間を若干とったが、参加者の中には今まで自分は自衛隊 のイラク派遣については反対であったが、佐藤連隊長のお話で自分の認識が間違って いることがわかったと話された方がおられるなど、心揺さぶられる講演内容であっ た。 よくぞ佐藤さんをはじめとする支援隊の皆さん、頑張って下さいました、としか表 現できな いほどの感動と、いい「日本」を発信すること重さ、いい「日本」こそ我々が伝えて いかねば ならないと肝に銘じた。 第3部の日本の唱歌では「早春賦」「雪のふるまちを」「勝利の日まで」をビアノ 伴奏を交え 全員で高らかに歌った。 今回は、佐藤一等陸佐の記念講演が大変に好評であったが、国を守ること、国際貢 献を するには何が必要であるのか、本物の「幸せ」とは何かを考える中、自ずと改めて日 本の 国柄の素晴らしさ、日本のよさを見つめなおすことのできた集いとなったように思 う。 |