■「何故、神武天皇は尊いのか」の答えを頂いた中西先生のご講演

 周知の通り、産経新聞が入手した極秘文書で政府の非公式検討会で
既に2年前から女性・女系天皇容認の方針であったことが判明した。有識
者会議の報告書が当初の筋書き通りに進んできた何よりの証でもある。
これが今後、国会でも大きな影響を及ぼすことになるだろう。

さて、 昨17日、中西輝政先生のご講演を聞く機会があったが、皇室典範
改定についての問題点を考える上で大変参考になった。

 まず、我々国民と皇室とのつながりについてである。今日は物と心のバラ
ンスが崩れ、「人の心がお金で買える」という風潮になったこと、次に伝統と
進歩のバランスが崩れ、伝統は尊いのではなく、古いものであるから受け入
れることができないという風潮になったこと、そして個人と共同体のバランスが
崩れ、国家の枠組みがなくなったしまったと規定づけ、本来は心と伝統と共同
体が尊いものであり、それを一つに体現しているご存在こそが皇室であり、
民族の一体感をもたらしてきたとされた。つまり日本人の心のありようが皇室
と密接に関わっているとされた。

 次に男系継承によって、男系の血筋を遡っていった場合に神武天皇につな
がっていくが、では何故、神武天皇が尊いのかといえば神話の神々に直接つな
がっているからであり、ここに日本文明の核心があるとされた。このご指摘も
非常に示唆深い。

 かつて昭和天皇は昭和21年元旦「新日本建設の詔」をお出しになられ、一般
には天皇の「人間宣言」と流布されたが、この占領軍当局の要求に対して、
昭和天皇は、「天皇は人間であると同時に神の末裔(すえ)である」とされ、
神話につながる系譜の継承者であることは譲れないという強いご決意で占領軍
と対峙されたことを挙げられたという。
 この国のあり方が神話につながっているからこそ、先人は尊いと直感したとされ
た。

 紀子さまのご懐妊の報は、まさに男系か、女系か、長子優先といった、まさに
一触即発の国会の状態を静める人智を超えたタイミングであったが、しかし改定
問題についてはそうも安心はしておれないことも指摘された。

 さらに改定賛成勢力の顔ぶれを見れば社共、民主、一部のマスコミなど従来の
反天皇勢力であり、おのずと何を企図しているかは予想がつくことなどにも触れら
れた。

 ご講演を拝聴し、心、伝統、共同体が今にも崩れかけている時にこそ、それを
救う原動力が皇室の御存在であること、皇室のご存在の重さを知れば、今の溶解
した世相も再生するのだという文脈には、今回の改定問題が皇室伝統の再認識と
同時に日本人の精神そのものを取り戻すことを意味することなのだと確信できた。