■「日本の文化」を守る法的根拠がない

先日、兵庫県教委が、公立高校で独自科目として「日本の文化」を設置する方針
を打ち出した。
 
 公立高校では日本人の誇り、アイデンティティーが失われつつある。国語のスピー

など学習指導要領にはない独自の科目を設けている高校は多く、県で独自科目を創
設しても問題はないとのこと。昨今、高校では日本史が選択科目となったことによ
り、
生徒の半数以上が自らの国の歴史、文化について学ぶ機会がなくなったこともあり、
独自科目として伝統文化を学ぶ機会をつくり、国の歴史に対する誇りと日本人として
の責任を持てることをねらいとしているという。

 科目の教材作成のために教育現場の関係者が集まり、構想委員会や開発委員会
を設置するという。

 県教委のこのような試みは、高校歴史に関する学習指導要領が現在の教育現場では
達成していないことに対する危機感からの挑戦として心から歓迎したい思いである。

 しかし、いつも疑問に思うのは兵庫県教委が、小学校では「いきいきわくわく」と
した教育方針を出し、この度の特設科目の設置など先駆的に教育指針を出しているに
もかかわらず、教職員組合との癒着があり、校長の人事に介入したり、校長権限を弱
体化させたり、学校現場に教委の職員を入れさせないなどの著しい弊害が起こってい
ることだ。このような状態で教育指針がそのまま実行されているのか、現在のとこ
ろ、
小生は詳細な情報を持ちえていない。
 
 報道によれば、県議会では「日本の文化」に偏った歴史観、国家観が入る場合があ
るとして、教材作成についての予算化についても議論が展開される様相だ。

 独自科目についての明確な学習指導要領がないならば、やはり教育基本法によるし
かないのだが、その教育基本法に我が国の歴史・文化・伝統の尊重と愛国心の養成が
掲げていない限り、小生には「日本の文化」という特設科目を守る法的根拠がないの
ではないかと思ってしまう。

 兵庫県教委の挑戦を達成させるためにも、早急な教育基本法改正の実現が今こそ必
要に迫られている時はない。

[以下、記事引用]

●高校独自科目に「日本の文化」 兵庫県、歴史教育を充実/産経新聞2/20付 夕刊
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日本人の自覚、誇り養う

 兵庫県は二十日、高校教育における日本史教育の充実を図るため、県立高校の独自
科目として「日本の文化」(仮称)を創設、各高校に新教材を配布することを決め
た。高校の必修科目から「日本史」が外されている現状を重く見て、日本の伝統芸能
や文化史などの歴史教育を充実させる。選択科目の中の「学校設定科目」に位置づけ
る方針で、平成十八年度予算に関連事業費四百万円を計上する。
 大学受験で世界史や地理を選択する受験生が増えていることから、多くの高校で日
本史が選択科目となり、高校で日本史を学習しない生徒も出ている。また、修学旅行
で海外を経験した高校生の多くからは「日本のことを外国人に聞かれても説明できな
かった」との感想も漏れている。

 県教委ではこうした現状を重視、日本人としての自覚と多様な文化を尊重できる態
度を育成するには「足元からの日本史教育が不可欠」と判断、独自科目の創設を決め
た。

 新教材開発の基本方針を定めるため、県教委に学識経験者や県立高校長、県立高教
員を委員とする構想委員会を四月にも設置。基本方針が固まり次第、教材開発を行う
ため学識経験者や県立高校長らを委員とする開発委員会を設置する。およそ一年間か
けて内容を吟味、検討する。

 県教委では「日本人の誇り、アイデンティティーが失われつつある。国語のスピー
チなど学習指導要領にはない独自の科目を設けている高校は多く、県で独自科目を創
設しても問題はない」と説明。教材は「伝統文化」に中軸を置く予定だ。

 県は二十一日開会の県議会に関連事業費を盛り込んだ来年度予算案を提出するが、
歴史認識についての見解をめぐって議会の一部からの反発も予想される。