丸山公紀氏の論文   
日本会議大阪事務局          

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H18−2
2006/02/26  ■国旗 国歌をよりどころとする選手のもつ強さ
           〜荒川選手の金に感動した日本人〜
  
 フィギュアスケート女子で、不振にあえぐ日本に金メダルをもたらした
荒川選手の演技は確かに圧巻であり、日本国民のみならず、現地観衆を
魅了した。日本人にしてみれば「本当によくやってくれた」と溜飲を下げた人が
大半であろう。

 それもそのはずでフィギュアというスポーツが歴史的にも欧米の独壇場で
アジア民族が同等に争うことなどできないという固定観念があったが、金メダ
ルを獲得した荒川、4位と健闘した村主、4回転ジャンプに果敢に挑戦した
安藤選手の体格は優勝候補と名高った欧米選手と全く遜色がなかった。

 欧米の一部マスコミは、荒川選手の金はSPで上位にいた選手が転倒ミス
をした結果、ノーミスの演技をした荒川選手が“棚ぼた”で転がり込んだ金という、
悔しさの滲み出た表現で報道していたようであったが、それもフィギュアは自
分達のお家芸であるという自負にも似た考えがあったからであろう。

 その意味では日本人選手の活躍は欧米人の技術、表現力は自分達の方が
勝っているという固定観念を打ち破る上でも歴史的快挙であった。ここまで
至るまでの日本フィギュア陣の営々とした努力の賜物であったことも決して
忘れてはなるまい。

 それだけではなく、日本人を感激させたのは表彰台で荒川選手が国歌を
堂々と歌ったことであろう。君が代の演奏とともに、両脇に米国とロシアの国旗
を従え、日の丸が重々しく、誇らかに揚がっていく光景は誰しもが胸の高まる
感動を覚えたはずである。荒川選手が日本の代表として優美な戦いに勝つと
いう重責を果たした喜びを素直に日の丸に表わした姿に、日本人全体が
共有したいという気持ちが沸いたからであり、「日本」に帰属している実感
を持ち得た瞬間であったように思う。

 この快挙の前に産経ではスポーツ欄で「記憶の一枚」と題して「国旗 国歌を
よりどころに」と題して次のような記事が掲載されていた。

 日本ではにわかに、イメージトレーニングなるものの重要性が強調された
時代がある。・・・欧米では選手に、理想的なレース展開を何度も脳裏で描かせ、
表彰式で誇らしげに国旗を見上げる自分をイメージさせる訓練が盛んであった。
 それを取り入れ、重圧に負けない精神力を養おうというねらいだった。
 そのころの選手を何人か取材した。レース展開はイメージできるが、日の丸
を誇る自分をどうしても連想できないというのである。日の丸や君が代を悪と
教える教師が多い時代でもあった。

 ・・・五輪では、国旗国歌を心のよりどころにできる選手が間違いなく強い。
だからこそ、表彰式での日本選手の態度が気になる。
                               (以上 引用終わり)

 レース展開だけでなく、表彰台での自分の国の国旗を見上げる自分をイメ
ージできるところまで徹底的に脳裏に描く欧米の練習方法は、最終的に選手に
緊張と肉体の限界の中で、最後に心のよりどころとなるのは、自国の国旗国歌
であるという民族の歴史と文化のシンポルであることを強調していることには
驚かされる。

 翻って、日本人選手は国旗国歌を否定してきた教育により、心のよりどころ
すらイメージすることができないと答えには、教育がもたらした日本人の弱さを
露呈することとなった。

 この記事を読み、日本人選手の不振は当然といえば当然の帰結でもあろう。

 荒川選手は、厳しい練習と様々な体験の上に、どのようにして最後の心のより
どころを国旗国歌に求めたのであろうか。少なくとも、多くの日本人は荒川選手
自身の演技の素晴らしさだけでなく、国歌が流れ、国旗が揚がっていく様に大い
なる感動を覚えたのである。

 ここにも国旗国歌を否定してきた戦後教育の功罪が影響していると考えることは
故なしとはいえない。
  
   
2006/02/28  ■覚醒しつつある国民の意識
  
 本日の産経紙で、共同通信社が実施した世論調査で、皇室典範改正に伴って
女性天皇が認められた場合、皇位継承順位については男子優先が43.6%、長
子優先は38.9%と、男子優先が長子優先を上回ったことがわかったという。昨年
12月の前回調査では長子優先が男子優先を小差で上回っていた。
 また女系天皇を認めてもよいとする回答は64.1%(前回71.9%)、男系を続
けるべきだは、22.8%(前回は16.1%)と増加しているという。

 この世論調査からわかることは、少なくとも皇位継承順位については男子優先
とする方が国民感情に合致していることを証明している。この点は皇室であっても
普通の家庭の跡取りについても、国民世論としては男子が家を継ぐことが適当と
考えているといえよう。

 また皇室典範改定問題が国会でもマスコミでも取り上げられ、また有識者会議の報
告書の問題点や女性天皇と女系天皇の違いが分ってきたことにより、男系継承こそ
皇室伝統であると認識している人々が増加率はまだ少ないものの、確実に多くなって
きている。つまり皇位継承のあり方について国民の関心が高くなり、その結果、女系

認してしまうと、皇室伝統が崩壊する重大局面にあることを皮膚感覚で危機感を感じ
ている人が多くなっているからであることを読み取ることができよう。

 小生は、関係団体に連絡をとる機会が多いが、どこの団体もこの問題についての関
心が非常な高いという。このことはわが国の何を守るのかを考えるときに大変いいこ
とではないかと思う。つまり皇室に関心を寄せることは、皇室のご存在の意義、歴代
天皇のご事蹟、皇統断絶の危機などについて学ぶことになり、その結果、万世一系の
伝統を守るために、当時の先人がどんな思いをつないできたのかを理解することとな
り、改めてわが国の国がらの素晴らしさを感じることになるからである。従って、男
系を続けるべきという認識が広まること自体、皇室の尊さを感じとっていることを意
味するのだと思う。

 また記事では「時間をかけながら国会で論議すべきだ」との回答は70.3%に及
び、これは既に国民世論としては拙速な改定には反対であることを如実に物語ってい
る。国民世論に敏感な首相が国民世論の声を聞かないで強硬しようとすれば、そのこ
と自体、自らの政治姿勢を蹂躙することになることを示している。さて、小泉首相は
このような世論調査の推移をどのように考えているだろうか。