丸山公紀氏の論文   
日本会議大阪事務局          

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H18−4
2006/04/03 ■日本版「教育水準局」設置に向けた奈良県教委「アドバイザリーチーム」への期待

 産経紙4/2(日)によれば、奈良県教委は1日、ベテラン教員が公立の小・中学
校、高校の教科指導力や運営方法などを診断する専門のチームを発足、同じ教員
とはいえ、校外の関係者が評価するという、いわゆる第三者評価を取り入れるのは
異例とのことであった。

 「アドバイザリーチーム」と名づけられ、ベテラン教員5人1チームでリーダーは
校長経験者が務め、小、中、高校などの公立学校で計3チームが編成され、3年間
で県内約380校全てを訪問して診断、改善点があった場合、文書で通知し、学校側
は改善する方法を提出することが求められるという。

 これは明らかに日本版の「教育水準局」創設の発想で、イギリスが1992年に学校
監査を専門とする機関として「教育水準局」を設置し、教育省から独立し、学校から
提供される教育の質、児童生徒の到達した教育水準、予算使用の効率性、児童
生徒の宗教的・道徳的・社会的・文化的発達などについて徹底的に監査、評価し、
公開することによって、それまでの教育荒廃を克服してきた路線を踏襲しようとした
動きとして大いに評価できる。問題は評価方法の内容と、このチームにどの位の
権限が持たされているのかである。

 既に「外部評価」制度は広まってきており、全国で約4割の学校で保護者や地域
住民による外部評価制度が導入されているというが、本来、現場指導の専門家と
して指導主事が十分に機能すれば、この「アドバイザリーチーム」と統合することに
よって、イギリスの「教育水準局」の果たしている役割と同様になる。

 気がかりなのは、その記事にある山本・県教育次長が「各学校の特色や魅力づくり
が一番のねらい。高校でいえば、進学や職業教育といったそれぞれの特色を強く引き
出したい」と表明しているが、混乱を助長している学校の密室化を是正し、学校現場
をチェックすることによって、問題となっている教科指導力や運営方法の課題を解決
していきたいというポイントを押さえて頂きたかった。

 その意味で産経紙3日(月)付けは文科省が学校の教育活動を巡り教職員が行なう
自己評価や、保護者、地域住民による外部評価について、文科省が評価のガイドライ

を策定、全国の都道府県教委に通知し、学校評価を内容あるものに改善した上で義務
化する方針との記事が掲載されていたが、外部評価と公開という路線を明確に打ち出
したことにも、イギリスの「教育水準局」の路線を踏襲しているといえ、まことに心強い。

 そもそも公立高校の9割で自己評価が一応行なわれているものの、約2割が教育目
標と評価項目を未設定、約6割が評価基準を未策定という現状は教育現場の不法行
為であり、それを指導すべき教育委員会が責任を果たしていない証左である。
  
  
2006/04/05   ■改正の原点を見失った与党検討会の密室協議を憂える
           〜蛮勇を奮った自民党の国会議員の先生に奮起を望む〜

 産経紙4/5付けでは、与党の教育基本法改正検討会(大島理森座長)は、
本日5日、改正の最大の眼目である「愛国心」の表現を巡る協議に入り、最大
の山場を迎えている。これまで条文案の決定に当っては、公明党主導で進行
しており、「教育の目的」に「国を愛する心」が盛り込まれるかは不明、「前文」に
「憲法の精神に則り」との文言を入れる方向、「宗教的情操の涵養」は盛り込ま
ない、「教育は、不当な支配に服することなく」の条文は、現行のままとなっている。
 また与党検討会の内容については、非公開で密室協議となっており、良識の
ある国会議員の意見が反映されることはないという。検討会での議案書はその場
で回収され、自民党の関係部会への報告も口頭となっており、具体的な改正点や
条文の表現を知る者は与党内でも僅かだという。

 当初は、与党検討会で協議された条文案を自民党文教部会・文教制度調査会、
公明党の文部科学部会で叩くはずであったにもかかわらず、これでは与党検討会
という一部の議員の集まりの決定をそのまま自公の当該の部会での十分な議論を
経ることなく丸呑みせよとなり、民主主義のルールを破って、改正案として国会に
上程することとなってしまう。改正案が決定してから4月中旬に政府案として国会へ
上程するスケジュールからすれば、おおよそ議論を尽くす時間などなくなってしまう。

 そもそも教育基本法改正は確かに法律の一つではあるが「すべての教育法令
の根本」として位置づけられるものだ。こんな大切な条文案を密室で決定しては
ならない。これでは何のための教育基本法改正であるのかわからなくなってしまう。

 自民党の議員の先生方には民主党の代表選によって民主がこの問題について、
注意が向いていない今だからこそ、蛮勇を奮ってでも、この密室協議の異常さを
指摘し、文教部会へ条文案を書面で提示してもらうことを要望して頂きたい。

 「不当な支配」の間違った解釈によって、昨年3月には扶桑社の中学歴史教科
書について、高い評価を下した愛媛の加戸知事が「教育への不当な介入を禁じた
教育基本法に違反」するとして提訴されたり、大阪のように一部教諭の人権侵害の
申立てによって、民間校長が混乱を収拾するとして、辞職してしまうといった事件が
どんなに学校現場を荒廃させているのか、このような事件の悲惨さを国会議員の
先生方はわが身の痛みとしなければならない。

 平成15年3月の中央教育審議会答申によって、教育基本法改正論議のスタート
が切られたのであるが、既に3年の年月となる。それにしては、与党検討会の議論
がこんな有様であれば見切り発車したとしか言わざるを得ない。
 
 自公、与党に課せられた責任はあまりにも重い。大阪からも自民党の地元国会
議員へ積極的に動いて頂くことをお願いをしている。
  
   
2006/04/06 ■余りにも対照的な新社会人への対応を考える

 学校での入学式、新学期であるとともに、新入社員の入社式の季節でもある。4月
は新年度を迎え、新社会人にとっても新しい環境の中で、希望に満ちた月である。

 先日、NHKの朝の放送で、会社側も新入社員を迎えるに当って、コミュニケーショ
ン能力が欠けているままで入社してくる今日の時代状況を反映して、社員寮に入居し
てもらい、会社の先輩と日常的に接し、人間的に付き合いや悩みなど打ち明ける場所
を持ってもらうことを義務づけている様子が放映されていた。

 どこの会社でも不況の荒波から脱し、景気がよくなったとはいえ、まだまだ新規採
用を大々的に行なっている会社は少ない。その上、新人社員は、即戦力とはならない
ものの、これからその会社を担っていく人材であるだけに長期的育成に力を入れてい
る。その人材育成のためのキーワードが「コミュニケーション能力の体得」なのであ
る。放送では、新入社員も今までの生活と違い、先輩や同期との語らいが多くなり、
刺激を受け希望に輝いていた。

 この会社の先見性に感じ入ったが、しかし、今どきの青年がコミュニケーションを
できず、人のことを慮ることなく、自分勝手な判断だけで生きていることを会社側は
はっきりと見とり、さらにそれでは一人前の人間にならず、また会社のためにならな
いことをメッセージしている。

 これは逆に言えば、今の青年はそのような環境を無理やりにでも整備してやらなけ
れば一人前になれないという大人たちの偏見か、そこはわからない。しかし新社会人
を受け入れる会社にとってみれば、会社の業務を理解してもらうだけではなく、組織
にとって人としての信頼関係をしっかりと培い、お互いが教え、学び、ともに喜び合
い、悲しむという一人前の人間になることが前提であることを要求しているとも言える。

 また情けないやら、笑ってしまうこととして大阪府教育委での新教職員の任命式の
記事を新聞で読んだが、トップたる竹内教育長が自分の不正を棚に上げて、教育行政
の責務を説いたということであるが、教職員の中の一人は「自分のしたことは大変申
し訳なかった。だから君達はそのようなことのないようにしっかりよってほしい」と
いう感想を述べたということである。何故にして、公正明大でなければならない教育
長が私立学校法人の接待を受けておきながら、何ヶ月分かの減給だけで事をすませ、
平気な顔をして新教職員に「訓示」を垂れるような無神経なことをするのか、一般府
民といえども理解できない。

 少なくともこの時点で、この場に居合わせて新教職員は、トップの威厳など一気に
なくなってしまっているのではないか。信頼するトップがいて、初めて自分も教育に
かけていく気概が生まれるはずであろうが、トップがどんなにうまい言葉で取り繕う
と、所詮、教育とはこんなものだろうと思ってしまうのではないか。

 その意味で民間会社は招来の会社のために人間を作ることで必死であるのに対し
て、教育公務員はお役所仕事として、出処進退を清濁併せ持って間違った選択をした
トップのことで、事なかれ主義の路線ひた走るのか、余りにも対照的な新人に対する
対応である。これで本当に大丈夫なのか?
   
   
2006/04/07 ■問われる教員の基礎知識
  
 産経紙夕刊4/6付で、大阪府教委は優秀な教員を確保するために来年度の
教員採用試験から、小学校の2次筆記試験の出題範囲を7教科から4教科に
減らして受験しやすく一方、500字程度の小論文を課したり、「大阪を発信する」
役割を重視する大阪に関する問題(1次試験)を出題したり、2次試験の面接で
部活動に関する質問を行い、人物像をより明確に浮かび上がらせる内容になるという。

 府教委のこの方針は問題教員が事件を起す中で、教員の資質、教育に対する
熱意を見極める上では評価すべき動きといえる。知識だけでなく、教育に対する
熱情、大阪のよりよい点をアピールすることによる郷土愛の涵養などが教員にな
るもの人にとって、必要となっていることを示している。ただし、教科を減らすこと
により、基本的知識が低下することは避けることは大事だ。この点について府教委
は、過去数年にさかのぼって受験者の4教科(国語、算数、理科、社会)の成績と
7教科(前述の主要教科の他、図工、家庭科、保健を加える)の成績を比較検討
しても合否にはほとんど差が出ないことからの判断だという。

 ただ学校現場では、補助教員として理科の実験がまともにできない教員を補助
するために補助する教員、体育の授業で水泳ができない教員のために水泳を指導
する補助教員、音楽の授業でピアノやオルガンを弾けない教員のために補助教員
がつくなど、実際に教員として採用されていない人が大阪府下の小学校でもかなり
の数にのぼるという。これでは何のための小学校教員の採用試験なのか疑問を
持ってしまう。補助教員を付けることによって、教員はなんとか授業を乗り切ること
になるのだが、これでは市民の税金がどれだけあっても足りるはずがない。

 小生の感覚からしても一つの学級に担任の他に、別の先生がいるというのは
学習指導面では担任の負担は軽減されることになるのだろうが、果たして子ども
たちはどのように先生方を見ているのであろうか。

 人物を重視することは重要であるが、先生には基礎知識を習得しているという前提
があって、初めて教壇に立てるような体制を堅持してもらうよう、府教委は指導して
ほしいものだ。
    
     
2006/04/13  ■「国と郷土を愛する」で自公合意     〜これからが改正に向けた正念場〜

 新聞、TVニュースでご承知の通り、昨12日の与党の教育基本法改正検討会に
大森座長は、「愛国心」の表現について、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくん
できたわが国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に
寄与する態度を養う」とする座長案を提示、了承を得た。
 自民党が「愛・国・心の三つの語は絶対に譲れない」ということであったが、その
うちの二つは入る形となっているが、どう読んでも「他国を尊重し、国際社会の平和
と発展に寄与する」というフレーズが印象に残り、公明党に配慮せざるを得ない折
衷案になった感がする。「心」を「態度」の語に言い換えたりすること自体もおかしな話だ。

 公明が今まで「愛国心」の挿入については、「戦前の国家主義を連想させる」
「『国』という言葉を入れるなら、そこに統治機構は含まれないことを何らかの形で
明らかにすべきだ」として「国を大切にする心」を頑なな主張して、改正法案の今国
会上程が危ぶまれていただけに、大きな前進といえるのだろうか。そもそも正常な
感性を持っていれば、「国」という言葉には政府といった統治機構を含めて、国を
成り立たしめてきた伝統と文化が含まれていると考え、まさか、統治機構だけを
連想する人は皆無に等しいであろう。だが、公明はこれを重大視するのである。

 「愛国心」の表現で自公が合意をみることによって、本日から両党の幹事長、政調
会長らが加わった教育基本法改正協議会を開いて、党内手続きを加速化するという。
 しかし、依然として、法案の条文については自民党の国会議員は知ることなく、ま
してや国民は知る由もない。

 報道によれば、自民党が求めた「宗教的情操の涵養」は盛り込まず、現行教育
基本法第10条の「教育は、不当な支配に服することなく」の文言や、前文の「憲法の
精神に則り」の条文はそのまま残るという。これでは学校現場では益々宗教的な要素
を教えることができず、教職員組合の学校支配による弊害は解決されることはないだろう。

 自公が合意したことから、一気に教育基本法改正が実現できそうな雰囲気である
が、そもそも改正の原点は何であったのかを忘れることがあってはならない。逆に、
自民党の中でこのままで了承を得ることができるのか、国会での議論で、このままで
スムーズに通過することはなくなったと見る方が正しいだろう。

 自民党の議員の先生方に11日の国民集会での誓いを是非、実行に移してほしい。
  
   
2006/04/16  ■景気回復傾向はニートを動かすか

 景気の回復がフリーターの増加傾向の歯止めとなったと総務省は
発表したが、一方で派遣社員、契約社員増加がフリーターの減少より
多いというデータを紹介していた。総務省は企業に正社員枠拡大の対策
を働きかけている。

 雇用改善の視点からフリーターが年内に200万人以内になる可能性から
社会は安定してきたと考えてしまうが、現在の景気回復の傾向がそのまま
労働人口増加につながっていると断定することはではない。

 ここには無職で働く意思のないニートの存在が論じられていない。逆に
ニートは確実に増えるとともに、精神的にもニートになる傾向が若者には
多いというデータもある。

 確かに景気回復という現象はフリーターの減少をもたらし、社会保険料収入
の低下と国力の低下に歯止めをかけることになるものの、ニートと称せられる
若者の増加は働く意欲、夢を持ちたいという自分に対する自信、確信をもたらす
こととは次元を別にしていると考えられる。

 それでも小生には景気回復があまり実際の生活で実感できないのも、
ニートと称する若者の心を景気だけでは変えることができない、もどかしさ
を考えてしまうからであろうか。景気回復だけでは実際に社会を支える若者の
心が変わらないのではないかと言ってしまえば、極論だろうか。
  
   
2006/04/18 ■我が国の姿勢を揺るがす中韓国の腹の内     〜中国の航行禁止公示問題〜

 また中国がガス田開発のために東シナ海の日中中間線にまたがる海域を通告もせず
に一方的に航行禁止の公示をし、一ヵ月以上に亙って、その事実を日本政府に伝える
こともなく、またわが政府も海上保安庁のみがその事実を察知しただけで、外務、経
済産業、国土通交省はその事実すら知らなかった。さらに問題なのは海上保安庁がこ
の事実を把握した後も官邸に報告したのが2週間後であったという。
 
許されないのは、その公示時期が先月6、7日に行われたガス田開発を巡る日中協
議の直前であり、協議では航行禁止について一切、何も説明することもなく、我が国
が提案した共同開発の場所の設定についても拒否した。つまり、中国にとってみれば
日中中間線の有効性は全く無視していると言え、もはや日中間には信義という最低の
ルールさえも通じないことを意味している。

安倍官房長官は問題の重大性に鑑み、早速、「日本の主権的権利を侵害し、国連海
洋法条約に反する可能性がある」として中国に懸念を伝えたが、要は国連海洋法条約
の意味するところ、排他的経済水域の意味するところが、当時国の資源開発の安全
だけではなく、その国の主権を守るためにあるということを日本政府があまりにも自覚し
ていないところから発している問題であるということに尽きる。

外務省は本日未明、中国政府が「技術的な誤りがあった」としてガス田拡張工事の範
囲を訂正したことを明らかにしたが、一切の謝罪もないようである。

 この事件だけでなく、最近、中国の動きの軌を一にして韓国が竹島の領有権を巡っ
て、一方的に韓国の排他的経済水域に日本の船舶が入ってくれば、拿捕するという宣
言を行っており、これでは海上保安庁の船舶が警備活動の任務すらも安全にできない
ような状態となっている。とりわけ、竹島は日韓が主張する排他的経済水域が重なっ
ている部分があるだけに、衝突する可能性すら十分にある。

 歴史上、中韓国の公法を無視した態度をそのまま放置することは、抗議をしなけれ
ば同意しているという間違ったメッセージを送るだけにとどまらず、その領海権すら
わが物にするという既成事実を塗り重ねてきた。

 このような問題を見聞きするにつけ、いかに日本は戦後、国家主権を守ることを放
棄してきたのか、その場で自分の身に何か振りかからねばよいといった一時しのぎの
平和主義を謳ってきたのか、そして国家の安全に係わる情報機関が機能していないの
かを痛感する。

 時を逸したとはいえ、この度の事件での日本政府の毅然とした中韓国に対する態
度、外交姿勢が問われている。中韓国は明らかに我が国の姿勢に揺さぶりをかけよう
と意図している。もう、内向きで他国に対して物を言わない姿勢だけでは通じないこ
とを自らの行動で示す時なのである。

 そして中韓国が我が国の経済協力が必要であるにもかかわらず、何故、そのような
行動をとるのか、その腹の内を見据える時期に来ていることを痛感する。
  
   
2006/04/19   ■国民的関心が薄い?  国民投票法案の動き

 自民、公明は、18日、「国民投票法等に関する協議会」で、憲法
改正手続きのための国民投票関連法案の与党骨子案をとりまとめ、
今後、衆院憲法調査特別委員会の理事懇談会の場で民主党へ提示、
自公民3党による今国会での法案提出を目指しているということである。

 小生にはどうもこの憲法改正の手続きの国民投票法案を巡る与野党
の動き、マスコミの取り上げ方が鈍いのではないかと思っている。もちろん、
投票権者の年齢や特定公務員の運動規制、また改正条項について逐条
的に投票するのか、全文について投票するのか、表面的には即時に決定
できない問題が多いことは事実であるのだが、それにしても与野党とともに、
その技術論だけを議論しているだけで、最終的にどこを改正法案上程の期
限にするのかという、明確なビジョンを持ち合わせていないのではないかと
勘繰ってしまう。

 また国民の間でも国民投票案については関心が決して高いといえないので
はないか。

 このことを国会議員、マスコミはもっと問題視すべきではないのか。各党が
今や草案を持つ段階に入ろうとしている矢先でありながら、国民投票法が
ないということは、憲政史上、やはり異常といわなければなるない。

 いわんや民主党に至っては「政治的な判断する段階に至っていない」として
いるが、この言は少なくとも憲法改正の緊急性を自覚していないことと同義語である。

 国民の憲法問題への関心を高めるためにも、早急な国民投票法案の国会上
程に与野党は力を傾注しなければ、国会は立法機関の役目を果たしていないとの
視点を持つべきではかなろうか。
  
   
2006/04/20  ■与党としての誠意ある態度をもたない公明党
           〜教育基本法改正案を巡る神崎代表の不遜な物言い〜
 
 昨日19日、教育基本法改正の与党案が公表されたのを受け、自民、民主など
超党派で構成する教育基本法改正促進委員会、民間教育臨調、日本会議国会
議員懇談会は合同総会を開催、政府・与党に対して、「愛国心」について「国を愛
する態度」を「心」に変えること、「宗教的情操の涵養」の明記、「教育は、不当な
支配に服することなく」の主語を「教育」から「教育行政」に改めること、という3点の
修正を求めていくことで一致したという。いよいよ、条文内容の条件闘争の様相を
呈してきた。

 それにしても公明党の神崎代表が、この動きを受け、「(出席した自民党議員が)
自分たちだけで責任を持って法案を通せるというのであれば、どうぞご自由に。参院
では公明党が加わることで(与党が)過半数を確保しており、自公の話し合いで物事
を決めるのが基本だ。」と述べ、自民を牽制した。

 これは神崎氏が参院での数の論理で、教育基本法改正についても公明の意向をきか
ない限り、法案は通ることのないことを強く主張したものである。これは本来、与党
としての誠意ある態度ではない。そもそも、自民党も公明党も大半の議員は与党検討
会で何が議論されているかも知らされず、さらに検討会で決定した与党改正法案に文句があ
るならば、勝手にしろ、しかし参院では通さないという手前勝手な議論のふっかけで
ある。加えてどんなに修正要求を出しても、もう与党検討会が合意したことなのだと
して、とりつくしまがない。

 この時点で自民党国会議員も国民も教育基本法改正の原点は何であったのか、そし
て現行教育基本法を野放しにしてきたために、子供たちがどのような教育を受けてき
たのか、学校現場がどんなに荒廃してきたのかを自覚し、それを痛みとしてなんとか
解決するために改正しようとする国民の願いが、「数の論理」という恫喝によって簡
単に踏みにじられようとしている正体が何者なのかをはっきりと気づかねばならない。

 そして公明も今の態度を続けるならば、国民から手痛いしっぺ返しを食らうことに
気づかねばならない。尤も公明は公党と言いながら、その実、閉じられた一部宗教勢
力信者だけの集まりであるから国民の世論を気にしていないのかもしれない。この時
点で公明党が与党にいることは不可解であるが、どうしようもない悪魔性を帯びてい
る。今こそ公明包囲網の構築が迫られている。
   
   
2006/04/20 ■韓国は竹島の不法占拠を主張している時間があれば、拉致解決に時間をさくべき

 日本政府は竹島付近を含む排他的経済水域(EZZ)の海洋測量調査について、韓国側
が6月の国際会議で竹島周辺地域の韓国名表記の提案を見送らない限り、予定通り調
査を進める方針という。

 それにしてもノムヒョン大統領が今回の問題について異常に反応を示し、安保関係
閣僚会議を開催し、「武力行使をも辞さない」という強硬な姿勢を示していることに
は、辟易するものがある。韓国は、5月末に統一地方選挙を控えており、ノムヒョン
大統領としては支持率浮上を期待しての国民向けのパフォーマンスという穿った見方もある。

 そもそも今回のような韓国の傍若無人の態度を招いたしまった原因は、当の韓国に
あるというものの、それを放置してきた日本政府の無為無策も介在することは明らか
である。時期を逸したとはいえ、海上保安庁の調査船が既定の方針により行動を示
し、韓国側が韓国名表記を譲歩すれば調査を中止するという姿勢は、外交方針として
は戦略を持った対し方であり、評価できるものである。

 それにしても、拉致解決に向けて、日韓が共闘を組んで、北朝鮮に迫っていく時期
に、韓国が両国関係を崩すような行動をとることは理解できるものではない。対立す
る時間があれば、拉北者の家族が多い韓国こそ、日本へ共闘を積極的に申し込むべき
であり、今はその大事な時期ではないか。

 まだまだ韓国では拉致の重大性に気づかず、あるいは意図的に拉致解決を主張した
場合に北朝鮮の逆鱗に触れると考え、回避してきたかのどちらかであろうが、その責
任は一にかかって韓国政府にあるのである。

 他でもない、韓国政府が拉致問題を野放しにし、竹島領有権問題を引き起こしてき
たのである。このことを見誤るべきでないだろう。
  
   
2006/04/24  ■目前に迫った教育基本法改正の動きに当たっての感慨

 与党教育基本法改正案へ、@国を愛する「態度を養う」を、国を愛する「心を養
う」とすることA「宗教的情操の涵養」を明記することB「教育は、不当な支配に服
することなく」を「教育行政は不当な支配に服することなく」に改めることの3点の
修正要求の攻防が、この24日、25日と最大の山場を迎える中、これに関する話題
が2点、目についた。

 第1点は、東京都教育委員会が学校の職員会議で挙手や採択を行うことを不適
切とする通知を出したこと。言うまでもなく、長い間、教職員の多数決は学校運営の
責任者たる校長の意思決定権を拘束してきた。その法的根拠として、教職員は現行
教育基本法第10条の「不当な支配に服することなく」という文言を不当な支配=国=
教育委員会=校長の意思と一方的に解釈してきたのである。
国旗・国歌問題を巡り校長と教職員組合との対立、生徒会が校長の指導に従わずに
入学式、卒業式をボイコットしたり、教職員に煽動させられた小学生が国旗掲揚を指
導した校長に土下座させたりするなど、教職員が子供まで利用して校長に従わないよう
な風潮、慣習を生ぜしめてきたのである。

 東京都教育委員会の通知は第10条の解釈を明確に教育権は国や地方自治体に
あることを確認したものなのである。換言すれば、第10条を教職員側の解釈の手から
解放する画期的な内容であり、その意味では第10条の弊害はすでにクリアされてい
るのである。しかし、こんな指示を出せるのは全国広しといえども、東京都だけであろう。
 いずれにせよ教育現場を混乱させた第10条をこのままにしていくわけにはいかない。

 第2点は、黒田勝弘氏(産経紙 ソウル支局長)が韓国の竹島の領有権を巡って、日
本が竹島周辺の海洋調査をすることを「主権侵害」とみなし、EEZの海域での調査で
あっても拿捕や衝突なども辞さないなど頑な態度をとったり、中国が何かについて
「反日」行動をとろうとする態度は、一種の「愛国シンドローム」ではないかという
指摘である。つまり日本を巡る東アジアは愛国主義に溢れているにもかかわらず、ひ
とり日本の教育基本法改正に当って「国を愛する心」で大論争を引き起こしているこ
とは実にかわいいと評している。

 おそらく東アジアの国は、与党改正案の中で愛国心の関連部分で「心」ではなく「態
度」としようとしていること自体が、不可解であると感じるとともに、ほくそえんで
いるのではなかろうか。近隣諸国が愛国心を前面に出していることに対して、一人、
日本は愛国心を前面に出すのかどうかで議論していることは、いかにグロテスクであ
るかがわかる。

 このような事態に陥った教育基本法が今、改正されようとしている。不十分な改正
にしてはなる
  
2006/04/25  ■女性登用率と審議会の活性化とは関係があるのか?
           〜大阪府、審議会などの女性4割超へ〜

 産経紙大阪版4/25付けでは大阪府の施策を考える審議会の男女構成につ
いて、府は17年4月1日現在、33.4%の女性の割合を平成22年度末までに40%
以上に引き上げる方針を決定、改定した「おおさか男女共同参画プラン」(目標
年次・22年度)に新たな目標として盛り込んだという。

 なんでも府は13年7月に同プランを策定した際は、25.7%だった女性登用率
について「17年度末までに33.3%達成」を打ち出していたが、一年以上早く目
標を実現したとのこと。小生はテレビで、そのことを太田知事が誇らしげに報告し、
さらに国が40%以上の目標達成を32年度に設定しているが、22年度末に目標を
達成し、国より10年前倒しにしようと胸を張っていたのを見たことを思い出し、こ
んなところで大阪府を前面に出すことを少々苦々しく思った。

 決して審議会や委員会など府の施策に直接係わる会議に女性が進出することは
悪いことではないし、女性の視点から日常の生活の中から感じていることを府政に
反映して頂く事は大変よいことではないかと思う。ただし、当の登用される女性とは
どのような考えを持っているのか、女性学を専攻している大学の先生であるとか、
女性団体、労働組合の役員であるとか、もともとのフェミニストであるとか、何もわから
ないので突飛なことは言えないが、それでも家事や子育て、介護などに一生懸命な
ご婦人の方はなかなか外に出られる機会は限られると思われるので、前者の傾向
の女性が多いと予想される。

 さらに女性の割合が多くなることと、その審議会や委員会で活性化が図られ、大き
な成果を挙げることとは直接には関係のあることなのだろうか。太田知事が意気込ん
で、大阪は女性登用率で全国トップを目指すといっても、それは数字上でトップにな
ることで、多くの女性を登用することによってどのような審議会や委員会を目指して
いるのかを言及していない限りは、単なる数字上の辻褄合わせをしているにすぎない。

 もっとも太田知事に至っては、もともと府政といえば財政再建と言うのみで、厳し
い税収入で何に投入しようとしているのか、全体像を語ることはかつて一度もなかっ
たのであるから、もうこんなことしか全国に誇れるものがないと考えたのかも知れない。

 内閣府が17年4月を基準にまとめた審議会への女性登用率では鳥取県、島根県、
徳島県が上位という。誤解を承知で言えば、これらの県は人口過疎県でもある。果た
してこれらの県が意識的に女性登用率を上げているのだろうか。太田知事のご執心に
は首を傾げることばかりである。
   
2006/04/26 ■教育基本法改正の戦いはこれからが本番である

 下記の国民運動通信にあるように、昨25日、自民党は総務会で与党教育基本法
改正案を了承したという。
 日本会議では国会議員懇談会、改正促進委員会、そして多くの宗教団体とともに
3点の修正要求を、与党検討会、自民党執行部にしてきたにもかかわらず、聞く耳を
持とうとしなかった。

 そもそも、教育問題の所在がどこにあるのかを真摯に議論するというよりも、公明党
との連立を第一義にするという、政権延命の姿勢しか考えていないことが明らかとなった。
 ある意味では、大阪府議会で自民党がどんなに教育基本法改正を求める意見書
決議をやろうとしても、公明党が全く乗って来ず、公明と民主が府議会を牛耳っている
異常な関係が、国会では形を変えて自民党が公明党の顔色をうかがわなければ何も
決定、進むことができない状態となっており、国会は大阪府議会と同じ構造の縮図ともいえる。

 国会の状況は厳しい。公明党を批判、非難することは容易である。しかし、国民運動
通信にあるように、自民党総務会で了承をとりつけ、28日には与党改正案が閣議決定
されて、国会に上程される運びとなっているとはいえ、決して教育基本法改正の戦いが
終わったわけではない。

 少なくとも、25日の私達の緊急集会によって、自民党は国会での教育基本法改正案の
解釈や関連法の改正、学習指導要領の見直しなどを通じて、「愛国心」、「宗教的情操」の
涵養、教育に対する国の責任の明確化などを実現していく姿勢を示したことは、今まで外
に向いていた自民党が、国民の声に耳を傾けはじめ、教育改革の内実について議論をする姿勢に明らかに変わりつつある。
 翻って、戦後、一回も改正されなかった教育基本法が不完全な形であれ、今変わろうと
しているのは、とりもなおさず、私達の国民運動の成果であり、戦後一貫して教育改革
運動を展開してきた、先輩方の運動の成果の賜物であることも肝に銘じなければならない。
 
 改正案が国会で野党議員も含んで議論する中で、よりよい文案と解釈を引き出す可能
性もある。与党改正案に一字一句、変わらなかったからといって、むしろ国会という公開の
場所において、改正案に教育改革の内実を盛り込むことができる可能性が残っており、
むしろこれからが改正に向けた本格的な戦いになるはずである。

 民主は現時点での教育基本法改正に反対だというが、未だに教育基本法改正について
は党としての対応を明確にしてはおらず、党内には多くの議員が教育基本法改正促進委
員会に所属しておられ、民主の良識こそ働かせるべきである。

 また今のままでは、たとい衆院で自、公で可決したとしても、参院では可決できず、丁度、
問題の重みは違うものの、郵政民営化法案の行方と同じくなる可能性も決して否定できない。

 いずれにせよ、三点の修正要求については、27日付「産経新聞大阪本社版」と「夕刊フジ」
に、「教育基本法改正 なぜ国民の願いが、反映されないのですか?」という全面の意見広
告が出されるとのこと。この意見広告を活用し、地元国会議員に対して三点の修正のため
尽力するよう、働きかけることの重要性を強調したい。

 いよいよ戦いはこれからが本番である。
  
2006/04/30   ■人間の両極端の姿

 27日、証券取引法違反で逮捕された堀江被告が、94日ぶりに
拘置所から保釈されたが、相変わらずマスコミの取り挙げ方が異常
とも思えるほどのフィーバーぶりであった。
 裁判で堀江被告は起訴事実を全面的に否認するとみられているが、
その一方で、保釈直前には自らの半生を振り返り、「生き急ぎすぎた」
と話したという。
 思えば「人の心はお金で買える」と豪語し、自社の時価総額の追及と
いう他人へ迷惑を顧みることのない、あくなき自己中心主義は、あれよ
あれよという間に時代の寵児に登り詰めたものの、次の瞬間には法の裁き
を受ける被告へと転落したのであった。

 堀江被告にとって、一体、何を目指して「生き急ぎすぎた」のか、その結果が
今の立場に立ったことをどのように捉えているのか、わからないが、少なくとも
自分の半生の意味については、じっくりと考えたのではなかろうか。しかし、
起訴事実を認めないという姿勢からは、自分の半生を反省し、否定するという
ことことらはも必ずしもつながりそうもない。

 小生は決して、ホリエモン的生き方を一方的に断罪するしようとは思わないが、
さりとて、このような生き方を若い人々がしてもらったから、日本は大変なことに
なるという強い危機感は持っている。

 そうかと思っていると、拉致被害者の家族会の横田早紀江さんらが、米国議会
下院での公聴会での証言やブッシュ大統領と面会することができ、その切実な訴え
が米国の政治家の心を動かし、北朝鮮への国際的な圧力となる転機となったこ
とが大きなニュースが飛び込んで来た。
 「子供たちが助けを求めている間は、どんなことがあっても倒れることができま
せん」「世界が心を合わせて『拉致は許せない。全被害者をすぐに返しなさい』と
はっきり言っていただきたい」との切実な言葉には人を動かす力があることを実感した。
 ここには自分のことでなく、わが子のため、同じ境遇にある拉致被害者の救出
のために、自分ができることは何でもするという、自己犠牲の姿勢に貫かれている。

 奇しくも、先週、私達は飽くなき利益追求をするホリエモン的生き方と、母親が
わが子、拉致被害者を救出したいという、ひたすらな生き方という、人間の両極端
の姿に出くわしたのであった。

 確かにその両方を合わせもったものが人間であることは否定できないであろうが、
人は感動せしめ、動かすものは、横田早紀江さんをはじめとする家族会の方々の
生き方であることは誰もが認めざるを得ない程の重いものであった。人間への愛、
祖国への愛、わが子への愛、困っている人への愛がなければ、人間は生きていけ
ないものであることを教えてくれているように思う。

 人間は、心持ち次第でどのようにでも生きることはできるが、ここにも自己犠牲
の精神があれば、より強く、人を動かすことのできる言葉を持つことができる
存在であることを確信させてくれる。その意味で、人間の多様さとともに、内在する力
は心持ち次第で、より強い人間となるのだと思う。

 拉致問題の解決が、より国際世論の高まりで早まることを願うばかりである。