徳永信一氏の活動報告
(弁  護  士 )

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H18年10月15日  教師の資格と内心の自由(英国の場合)
 
先日、東京地裁の難波コートが示した東京都の君が代日の丸に関する
職務命令に対する違憲判断をめぐる議論が沸騰しているようですが、
世界は教師の資格と内心の自由についてどのように対処している
のでしょうか。

フランスと並ぶ人権発祥の国、英国では教室内でベールを脱ぐことを
拒否したイスラム教徒の女性補助教員に対して停職処分を下したとの
ニュース(ロンドン AFP)が本日の産経新聞国際欄に掲載されていま
した。

停職になった女性教諭は、子供たちに英語を教えていたが、唇の
動きが見えないため授業に支障が出ていたとのことでした。

まさしく内心(信教)の自由と教職員に対する職務命令との衝突場面
であり、英国内でも反対意見もあるようですが、イスラムの教義に基
づく女性のベールについても、職務命令違反を理由に処分すること
ができるとした英国の判断は、「日の丸君が代は嫌だ!」という政治
的信条を理由に違憲判断を下した裁判官のそれに対し、大きな反省
を迫るものがあるように思いました。そもそも政治的信条については、
民主的決定が予定されているわけですから、それが民主的プロセス
を経て決定された以上、その執行機関である教職公務員が、個人の
信条を理由にこれを拒むことの異常性について国民の注意を喚起す
るものになればと思います。

ドイツの法哲学者、ハンス=ケルゼンは、公務員が民主主義や人権
を理由に職務命令を拒む事態について「民主主義が民主的に破壊
される」と呼んだことが想起されます。

少し、論点がズレますが、
フランスでは、イスラム教徒の女性徒のスカーフの着用を禁止しました
が、なんとその根拠に政教分離が持ち出されました。フランスにおいて
は、個人の信仰の自由(内心の信条)と政教分離とは対立する契機が
あるものと理解されていることは、日本人の政教分離の理解が、世界の
政教分離の理解と相当の距離があることを示唆していました。

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