「人権擁護法案・国民的論議不足につき反対」

2005/03/07

政府が十五日閣議決定し今国会に再提出する人権擁護法案を読んだ感想と意見を述べたい。

第一に、自由民主主義政治制度の根幹である立法・行政・司法の三権分立に、新たに人権が加わった四権分立に変えんとする意図がうかがい知れる革命的法案であるということ。

因みに去る三月四日部落開放同盟全国大会において採択された運動方針に、本法案の早期成立がある。松岡徹書記長は終了後の記者会見で、同法案の下に発足する行政機関「人権委員会」は、独立性が担保されることが必要と述べている。

第二に、個人の人権は民法体系の定めるところにより、法務大臣により保護されるべきものと多くの国民は心得ている。独立法は不要。

第三に、人権侵害の定め方が特定的で偏向があり、人権の特高警察が出現する危険性がある等。



私は法により擁護・保護されるべき人権は、本法案に書かれているものだけでなく、多くの日本人が人権侵害にさらされている現状にもっと広く目を向けて、これらを包括した法案が作られてしかるべきものと考えている。

例えば「世界人権宣言」において、すべて人は、自国の政治に参与する権利を有する・自国においてひとしく公務につく権利を有する・人民の意志は、統治の権力の基礎とならなければならないとされている。だから外国人が参政権や公職、公権に就く権利等は区別して、自国民の権利の擁護を明確にしなければならない。            

また、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」に、すべての人民は、自決の権利を有する・この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追及するとある。

即ち日本人が多神教の習俗・習慣になじみ、統合の象徴であり総意に基づき天皇を置くことを自決し、社会的文化的発展を自由に追及した掛けがえの無い歴史は、愛すべき日本人の結晶として保全される権利であり、アイデンティティである。

国は、日本人のこのアイデンティティを尊重する法令を作る責務があると考える。

 更に、「子どもの権利に関する条約」には、締約国は、子どもが、不法な干渉なしに、法によって認められた国籍、名前及び家族関係を含むそのアイデンティティを保全する権利を尊重することを約束するとある。ところがわが国は、保全するアイデンティティが法制化されていないために、子どもの権利を尊重していない状況にある。

 このように国際条約で約束した自国民の人権に関する国内法未整備の現状に照らして、人権擁護法案は特定の人権だけが突出しており、更なる国民的論議を尽くす必要が有り、国会での法案成立は時期尚早であると考える。以上



平成17年3月7日

湯澤甲雄(74歳、元東京銀行支店長)

横浜市南区大岡3-41-10045-713-7222