平成17年4月25日
内閣総理大臣 小泉純一郎殿
外務大臣   町村信孝 殿
写:自由民主党幹事長  武部 勤 殿
  自由民主党副幹事長 安倍晋三 殿
  自由民主党総務会長 久間章生 殿
  自由民主党政調会長 与謝野馨 殿

横浜の教育を考える会代表 湯澤甲雄
横浜市南区大岡3-41-10045-713-7222

国民と戦死者を未来永劫の国際的罪人とした小泉首相自虐スピーチ

 4月22日アジア・アフリカ首脳第1回全体会合において、スピーチに立った小泉首相は、百カ国以上の首脳・外相らが居並ぶなか、平成7年8月、旧社会党の村山富市首相談話を引用して、「わが国がかって「侵略」によって、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」と語ったことが、新聞報道されている。
 因みに侵略とは、小学館「大辞泉」によれば「他国に攻め入って土地や財物を奪い取ること」とあり、国際的犯罪行為を指している。
先ずは、戦後60年経った今日、わが国が侵略を犯したと、居並ぶどの国が今尚言い続けているのであろうか、検証してみると、アフリカ諸国からこのような発言を聞いたことが無い。アジア諸国の中では、華僑人口が80%占めるシンガポール、中国、韓国の三国を除いて、聞いたことが無いのである。つまり百カ国中三国だけである。
次に、過去においてわが国が侵略を犯したと、どの国が認定したのであろうか。
極東国際軍事裁判所の判決によれば、国際法に準拠せずに意図的目的で審理が行われたのに拘わらず、国家的犯罪の論拠となる被告(所謂「A級戦犯」)の共同謀議がついに成立せず、被告個人の犯罪とされた。ニュールンベルグ裁判においてナチスが戦犯とされたようにである。即ち連合軍は、わが国に対して国際不法行為をおかしたとして原状回復または損害賠償責任を負わせたが、国家や国民の国際的犯罪(侵略)を認めなかったのである。
その裁判の推進者であったマッカーサー元帥は、その後日本が戦った戦争は、自衛のための戦争であったとトルーマン大統領へ報告し、且米国議会においても証言して、わが国の国際不法行為さえも否定した。このように、わが国の国際的犯罪行為である「侵略」については歴史を美化するとか、歪曲するとかの問題ではなく、事実なかったのである。

 そもそも「侵略」という言葉は、極東国際軍事裁判所の判決の中で使われた「Aggression=侵攻」という語の誤訳であり、従って日本国内だけで「侵略」が使われているのである。小泉首相は「侵略」という自虐語でなく、「侵攻」という国際言語を使うべきであった。
因みに「Thorndike-barnhart dictionary」によれば次の通り「侵略」と言う意味が無い。
「1.the first step in a quarrel or war;an unprovoked attack.
2.any attack,infringement,or encroachment.
3.the practice of making attacks or assault on the right or territory of others
as a method or policy.
4.Psychology.an act or habit of hostility toward others person, often stemming
from a feeling of frustration or inferiority.」
 このような事実を背景にすると、日本国が侵略国家であったとする考え方は形而上的なものでしかないのである。
この事実を弁えている特に中国は、鋭く「A級戦犯」の「歴史認識問題」に焦点を絞って、中華思想を基に、日本の台頭を抑えるべく、小泉首相の行動のみ批判してきている。
韓国は、儒教の序列意識を基に、広範囲に貶めるべく、日本国全体を批判してきている。
便衣隊が多くいたシンガポールは、英領植民地時代の法体系を引き継いで運営している近代国家として、戦後、裁判もなしにBC級戦犯として、日本軍人を多数処刑した野蛮行為に対する免罪符を得るために、便衣隊戦死者の慰霊塔に日本人を参拝させる等日本軍人の犯罪性を主張している。
つまり三カ国の中で、日本が侵略国家であったとしている国は、日韓戦争なんてやったことが無い韓国一カ国だけの形而上的主張あるのみである。三カ国以外では、わが国の自由民主主義政治体制下の政権に対して、侵略国家同然の政治を行っているという悪いイメージを国民に抱かせ、政治体制や政権の転覆を図らんとする共産主義的記者を多く抱える、朝日新聞とNHKくらいで他には無いのである。
 
わが国がかって、軍事行動を起こして他国に攻め入って土地や財物を奪い取った証拠が極東国際軍事裁判においてさえ立証できていない歴史的事実があり、なおかつ、日本国民もそのような自意識にない事柄に対して、これに対抗して、戦後60年経った今日国際会議の席上で冒頭に掲げたスピーチをした小泉首相の軽薄な態度は、全く許しがたい。
小泉スピーチは、日本国民と戦死者を、ナチスと同列の国際的犯罪行為者として奈落のそこへ突き落としたのである。ナチスが未だに罪の償いを追求されている未来永劫の国際的罪人であることを知らねばならない。ただしナチスは既に実体が無いので、償いができない状態にある。ドイツ国民は、罪の償いを求められていないのである。これに対して、今も実体がある日本国民は、小泉首相のスピーチによって今後世界中の国から国際的罪人として、60年以上も前の事柄について保障を求められ、これを償っていく責任を引き受けることになったのである。

わが国が戦端開始した当時の国際法は、戦争は伝統的に合法制度とされており、戦争が終わり講和条約や協定締結によって、交戦国間の国際法違反について大赦(Amnesty)の効果が及ぶとされている。しかしながら戦争犯罪行為(侵略)については、国際法の大赦が及ばないとして米国各地で裁判が起こされていることを想起すべきであり、今後どの国で裁判が起こされるか、これが進出日系企業にどのように影響するか、ともかく小泉首相のスピーチによって改めて無限大の不安の種が蒔かれたのである。
また、侵略によって被害を受けたと唱える国や人が、いまだ日本から国連憲章に沿った償いを受けていないと声高に主張するとき、日本国だけは安全保障理事国に相応しくない
として排除する論拠ともなり得るのである。
小泉首相は、日本国の自尊心を貶めた自らの不覚に責任をとって潔く退陣して、国民と靖国の英霊に謝罪しなければならない。
同時に自由民主党は、行政改革、規制緩和の断固たる遂行、郵政民営化の実現、人権擁護法案反対、日米同盟の堅持等を含むゆるぎない国家観を弁えた新首相を選出して、地に落ちた国民と戦死者の国際的名誉回復を期して懸命な外交努力を払って欲しい。侵略の汚名が晴れなければ、日本国の将来の展望が開けない。以上