要  望  書


平成17年4月5日
法務大臣     南野 知恵子 殿
文部科学大臣   中山 成彬 殿
自由民主党幹事長 武部 勤  殿
                      横浜の教育を考える会 代表 湯澤甲雄
横浜市南区大岡3-41-10045-713-7222

弁護士法を逸脱した弁護士会に対する警告について

 3月19日産経新聞の報じるところによれば、各地の都道府県教育委員会等において、各種の人権侵害があったとして、全国各地の弁護士会が、これらの教育委員会等に対して勧告・警告を相次いで出していることを伝えています。
 私はかような弁護士会の行動は、弁護士法第2条弁護士の職責の根本基準に照らして、法律及び法律事務の精通に欠ける偏見に満ちた勧告・警告であると考えます。
 よって各地弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行う日本弁護士連合会に対して、弁護士が法律及び法律事務の一層の研鑽に励み、初等中等教育行政の中立性を侵害することの無いよう徹底させると同時に、弁護士法に違反することの無いよう、夫々のお立場から厳重に警告して下さいますようお願いいたしたいと思います。
●「新聞に報道された問題4点」
1.東京弁護士会:「教育の自由などを侵す人権侵害」
2.第2東京弁護士会:「「国歌伴奏を強制したことは人権侵害」
3.大阪弁護士会:「国歌斉唱を強制しないと事前に説明しなかったのは生徒への人権侵害」
4.新潟弁護士会:「中学卒業程度認定試験を受験させるのは人権侵害」等
●「弁護士として法律及び法律事務の精通に欠ける点」
初等中等教育は、憲法26条、教基法11条の規定により、国民が信託した国会で議決された施行法に基づいて行う大原則があります。わが国にはキチンとした学校教育行政制度が確立されており、教育行政法の末端に位置するのが学習指導要領・教科書です。法は強制力があるから法なのであって、強制力の無い法はあり得ません。英国では、義務教育を「強制教育」と称しているくらいです。法に基づいて整斉と行われる教育こそが、子どもの基本的人権が守られた教育であるということを弁護士たる者は弁えるべきであります。
日本人にとってかけがえの無い国旗・国歌は、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」並びに「市民的及び政治的権利に関する国際規約」に規定する「人民の自決権」として、「国旗及び国歌に関する法律」に定めた日本人のナショナル・アイデンティティという基本的人権です。「子どもの権利に関する条約第8条、第29条」において、わが国はわが国の子どもの「国旗・国歌」というアイデンティティを保全する権利を尊重することを約束しています。従って教基法第1条に定める国民の育成を期した教育目標達成のため、学習指導要領の規定に沿って国歌斉唱、伴奏することが即子どもの人権の尊重であります。
 弁護士法第42条によれば、「弁護士会は弁護士の事務その他司法の事務に関して官公署に建議することができる」とされており、今回のように官公署に対して勧告や警告を発し、教育行政に介在するようなことは、弁護士法上絶対に許される行為ではありません。以上