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小石原健介氏の活動報告(基)
(元ドーバー海峡海底トンネルフランス側現地所長(川重)

父の遺稿 随想  その2  R3-3-9

親不幸
 親不孝とは親に心配をかけることである。親孝行とは親に安心させ更に親を喜ばすことである。
親不孝にも色々あるが、その中で一番の親不孝は子が親より先に死んで親を嘆かすことである。
親と云う者は自分の一生涯、子供が生きていても死んだ後でも決して子供のことは忘れるもので
はない。人の死の原因にはいろいろある。不可抗力もあれば。親の不注意、自己の不注意、人間
の寿命、天命、運命など、数えきれない種々多様のものであるが要するに、身体髪皮、父母の亨
けたるを思い自己の生命力の最大限に最善を盡し健康に留意し親より先には絶対に死なぬと確信
を以て生命の保全に努力することが、最大の親孝行と云える。

実例吾が両親の挿話(親心)
 話は古いが、明治二十七、八年の日清戦争に出征した長男の初太郎を旅順で戦死させた父の
徳左衛門が農作地のクロバイと云う、阿栗山の中腹の田圃で日々の野良仕事を終る頃、西方遥か
彼方の福島、里の遠寺より打ち出す暮六つの鐘を聞くと西方を眺め不帰の我が子初太郎を思い出し、
夕日の沈む西方旅順の戦地に思いを馳せ、瞑目するとアジケなく胸が詰まって涙が滲んで来る、
この悲しみは一生涯忘れられぬと、時折吾れに話していた。
 又母は村役場から旅順で我が子の初太郎が戦死したと公報を受けたが、本当とは思えないで若し
かしたら初太郎がヒョッコリ帰って来るのではないかとはかない望みで、夕暮など人声がすると
その声が初太郎の声のように思われ、若しや息子が帰って来たのではないかと急いで外に出て
見ることが、たびたびあると話して居た。又畑や田圃で仕事をしていて初太郎のことを思いだすと
悲しくて頭がボートなり目の前が真っ暗になることがある、こんな時は狐に化されるかも知れん
と思い急いで家に帰って来たと話していた。
 これは私が幼い頃、我が子を失った両親の嘆きを身に染みて感じた体験であり、辛い自分は未だ
子供を失った経験はないが、親心は誰も同じと思う。自分も子供達には親より先には死ぬなと常々
話して居る。日清、日露、第一次欧州戦、日支事変、大東亜戦争や原爆、空襲と度重なる戦乱のため、
親子兄弟の肉親や夫や妻を失った人達は数えきれぬほどあるが、いづれも思いは同じものと思う。
人は克く「死も辞せぬ」などと云うが、実は死することよりも生きることが六カ敷し勇気がいる
ものである。

親の愛情
 家庭は家族のためには安全なる城である。安心して居られる処は家庭以外には何処にも無い。
子供達が学校を卒業しても就職出来ず或いは卒業などして、家で遊んでいるとき、来客や訪問者が
見えると、身を隠して人の前に出たがらない。これは所謂引け目を感じている証拠の現われで
我が家は安心して居られる唯一の隠れ場所である故である。此の様な場合には親は子を庇って
やる愛情が必要である。子供を素直に育てる秘訣は愛情より外にない。愛情とは子供が辣外に出
ないように静かに見守って居る温かい思いやりの心のことで、無関心に放任したり、必要以上の
盲目的に世話をやいたりする意味ではない。親自身が自分の姿勢行動を正しく何事も垂範すれば
子供は云わずともこれに感化されて来る。
 子供は素直に育てば必ず一定の時期が来れば馬鹿でない限り親の心配が取り越し苦労であいつた
ことが後で判って来るものである。但し低能者や不具者には特別の心遣いが必要であることは云う
までもない。

言葉の表現
 何気ない一言の言葉にも捨てがたい魅力あるもので例えば君は人が悪いと云うのと、君は悪人と
云うのと全く違ってくる、又反対に彼は善人と云うのと。彼は善い人だが人がよすぎると云うの
とはその意味が異なってくる。又君は背が低いと云うのと背が高くないと云うのとは同じ意味でも
感じが異なってくる。言葉は簡明にそのものズバリ直裁に言わぬと誤解される場合もあり、
又ズバリ云って言葉が足らぬと相手の感情を悪くすることもある。丸い卵も切りようで四角になる、
言葉も同じ意味でもその表現の巧拙によって角が立ったり、好感を與えたりする。言葉の工夫
が肝要である。

君はお人が悪いと云うと、相手はそんなことはないよと笑って答える。君は悪人だと云うと相手は
何だとすぐ喧嘩になる。あの人は善人ですと云うと誰でも信用する。あの人は善い人だが善すぎる
と云うと馬鹿でないかと人はその者を信用しない。
 相手が疑って居るとき、ズバリ答えると相手は信用する。興奮して居る相手にはあいまいな返事を
しないと相手は益々興奮する。借金を頼まれたとき、ハッキリ断わらぬとあてにされて後で困ること
になる。相手が謙遜して云って居るときは、御冗談でしょうと受け流すこと。人が欲しくない物を
遺そうとするときは、今はありますからこの次に戴きますと体よく斷る。